はじめに レイド紙laid paperとは、簾の目が入った紙のことです。今でこそ特殊な紙として扱われていますが、18世紀半ばになめらかなウーヴ紙wove paperが発明されるまで、ヨーロッパではレイ…
投稿者: ライター K
はじめに 白い封筒は、確かにそれ自体として美しいものに違いありません。しかし筆者のような懐古主義者には、ただ糊付けされただけの封筒は、どこか物足りなく感じられます。それはまるで、意図的なセンツァ・クラ…
はじめに ドイツ南部、オーストリアにほど近いアルプスの山間に位置し、豊かな水を湛える氷河湖、テーゲルン湖――そこからさらにマングファル川に沿い1キロほど北上したところに、一軒の製紙工場があります。ドイ…
はじめに 現在、東京都美術館ではコートールド美術館展が行われています。モネの風景画やルノワールの風俗画、そして多数のセザンヌ作品も興味深いところではありますが、何より注目すべきは、エドゥアール・マネ晩…
イギリスのスマイソンSmythson、アメリカのクレインCrane & Co.――欧米各国には、それぞれ国を代表するソーシャル・ステショナリー・ブランドがあります。フランスの場合、そのようなブ…
はじめに 《種をまく人》をはじめとするミレーのコレクションで名高い山梨県立美術館では、「黄昏の絵画たち――近代絵画に描かれた夕日・夕景」と題する特別展が、8月25日まで開催されています。終了間際のこの…
フランスの書籍を渉猟していると、時折アンカット本に出会うことがあります。天や小口が裁断されておらず、ページがつながったまま販売されている、あの時代錯誤な本のことです。 Amazon.frでcomme …
上野にある国立西洋美術館では、現在松方コレクション展が開催されています。修復された《睡蓮、柳の反映》の公開が話題を呼んでいますが、この企画展にはもうひとつ、著しく破損した絵画が展示されています。 エド…
「雅宴画Fête galante」――ヴァトーが美術アカデミーに入会する際、《シテール島への巡礼》に与えられた名前です。その後は同作品のような絵画に用いる一般的な呼称となりました。 この語句はまた、1…
渋谷にある総合文化施設Bunkamuraは、喧噪に満ちた駅前とは対照的に、静寂と平穏、そして知的な楽しみに溢れています。 この場所で現在行われているのが、「印象派への旅 海運王の夢――バレル・コレクシ…