2019年5月15日に開催された「富士スピードウェイ ワンメイクドライビングレッスン(BMW)」に参加してきました。
私の所有するBMW 640iは製造されてから8年、購入してから4年目を迎えました。640iはラグジュアリークーペという部類で快適に旅行をするためのグランドツーリングカーとして生まれ、昨年8シリーズにバトンタッチしました。元々スポーツカーではない車種で、更には年数も経過した640iが、現行のBMWと富士スピードウェイでどこまで戦えるのか?
実戦の結果とBMWに対するイメージの変化を答えてゆきます。

イベントは一日がかりに

早朝4時に起床して富士スピードウェイに向かうと6時30分には既にゲートの前に何台ものBMWが集合しています。この日は7:20より受付をスタートして午前中はP15駐車場でのジムカーナレッスンと新型車の試乗体験、午後は本サーキットの走行会というスケジュールでした。

2015年5月4日に開催されたMドライビング・エクスペリエンスに参加して以来、4年ぶりの富士スピードウェイの走行となります。その時はMモデルの発表と共に広報車でのサーキット走行と同乗走行というもので、今回の自分の車を持ち込んでのサーキット走行とは趣旨が異なりました。

多種多様なBMWが集合して早速ジムカーナ練習会に移りますが、参加者はハード・コアなMモデルばかりなのです。とてもじゃないけど640iのような非力な車はお呼びでなく、半分以上の参加者はM4,M2とサーキットの為に生まれた車で来ます。それを更にチューニングして磨きをかけているようでした。

現役レーシングドライバーから直接アドバイスを貰い、ジムカーナを進めます。
午後の本サーキットに向けての注意や、運転テクニックを同乗走行で体験したり、スピーカーで直接本人のドライビングを評価したりと本格的に進んでゆきます。
コースは狭く、アンダーが出やすかったり、リアが滑りやすいようなレイアウトになっています。

午後は富士スピードウェイ本コースで走行会

無事に午前のジムカーナを終了して食事休憩、その間に車をメンテナンスしたり空気圧チェックやホイールの増し締めを行います。贅沢にもピットガレージを貸出されて準備をします。ゼッケンをガムテープで付けたり、タイム測定の機械を窓に貼ったりします。
20分を3セットという一般的な設定です。一見短く思えますがかなりの体力勝負です。

スタートグリッドは何故か一番先頭に…!

ゼッケン番号の関係で一番先頭になってしまいました。しかも初めての先頭スタートだったのでアナウンスでパニックになって赤信号を無視して勝手にスタートしてしまいそうでした…。
実際には本コースに出る前に止まって、ちょっとバックして定位置に戻りました。

シグナルが青になって一周目は軽く様子を見ます。一周目は6割位の走行をしないと危険で、無理にアタックするとタイヤが温まり切らずズルズルなのでスピンしてしまうこともあります。
背後に7台のMシリーズを残し先導を切るのはいささか重荷でしたが、やるしかないのです。

2週目移行になっても中々後ろから車が来ない…。スタート間隔が長かったのか分かりませんがMモデルが猛威を振るうまでには時間が稼げそうです。
そうしているうちに最後尾の車を見つけます。

もしかして意外とイケる??

ド・ノーマルの640iで快適仕様、タイヤも残量少なく不安な状態でしたが意外にも戦えそうです!
4年前に荒聖治選手に教わったライン取りを実践して気合を入れて走ります。
あっという間に20分終わり、2セット目に突入します。調子に乗ってM4を追いかけるのですが限界走行を続けても、少しずつちか近づけません。ホームストレートで引き離され、コーナーでジワジワと切り詰め、やっとの思いでインから抜きます。

ついに8年前のノーマルBMWでM4をカモれることができました!
しかし調子に乗ってハイペースで走っていると2セット目の5分ほどでタイヤとブレーキがダレダレに…。グリップ力を失ってコーナーが曲がりにくくなり、ブレーキで止まる距離も長くなって行きます。それを頭で計算してからコーナーに突っ込まないとコースアウトしてしまいます。

「今はブレーキ効かないので、さっきより早く」と何度も念じながら早すぎると思える位置でブレーキをスタートします。それでもギリギリで遅いくらいなのです。スピードが200キロ近くでフルブレーキするというのは日常生活では存在しないので、どこから始めればいいのか体感的にも難しく、さらにはコースの幅が非常に広いので体感速度が遅く感じるのです。
十分に減速したなと思った速度が120キロだったりするのです。Mモデルであれば強引にインに寄せれるのですが、体重のある6シリーズはそうもいきません。ましてはタイヤもズルズルで加齢なので慎重に曲がっていくしかないのです。

結果としては2回目は何台かのMモデルを抑えて2位を獲得!
悪条件でしたが2分10秒を達成しました。タイヤが外減りでひどく、ブレーキも鳴き始めたので、両方を新品にして挑めばノーマルの640iでも2分4~5秒は達成できるはずです。

3回目は全然タイムが出ずに…。

一度ズルズルになるとタイムが出ません。トヨペット100Rコーナーに至っては常時ドリフトさせるような状態で滑りながら曲げていくしかないのです。ダンロップコーナーでもリアが滑ってグリップを得れません。
やはりサーキット走行で一番重要なのはタイヤとブレーキです。時代遅れの640iでもやればできるのです!

古いノーマルのBMWでも早く走る方法とは?

走って分かったことですが、基本的なメンテナンスをしっかりと行うのが大前提、これは200キロ以上出すので安心して走るためにも必ず整備をしておきます。その上でタイヤとブレーキパッドを良いものを選び、良いコンディションで参加します。今回は予算の都合でタイヤも新品を用意できず三部山のような片減りで参加してしまいましたが、本来のパフォーマンスを出して安全に走るには新品で皮むきが終わったくらいの物を用いるのがベストです。

あとは作戦です。マラソンと同じで、前半で飛ばしすぎると後半はバテてしまいます。ここで何を目標とするのか、例えば結果ではなく気分を重視するのであれば、今回のように目標の車を見つけて食らいついていくように全力で走ります。
そうでは無く本格的にタイムを出そうとするのであれば、一周目は遅いペースでタイヤとブレーキを温存して走ります。温めてベストの状況に引き出す程度で走ります。
そして他の車がいない状況や混走を避けたラップで、最終コーナーを完全に立ち上がり重視にして”最速ラップ”に挑みます。グランツーリスモなど車ゲームをしている人はご存知だと思いますが、毎回コンスタントに良いタイムを出すのは難しいです。実車で混走すると必ずタイムが落ちます。空いているタイミングを狙って、必要であれば背後の車に先行させて距離を置くくらいでもよいでしょう。

追い越しのテクニックとは…

今回、BMW M3(E92)に強烈なプレッシャーを掛けられるシーンがありました。煽られるとかではなく、ジワジワと後ろを付かれるのです。
当たり前ですがM3の方が640iより格段と速いのですが、中々抜きに掛かってきません。

これが大切なポイントで、しばらく抜きにかかってこない=ほぼ互角、という意味です。本当に速い人であればインやアウトの隙間から簡単にパスしてゆきます。しかしM3の方が車が速いのでストレートを先行させます。
峠でも用いられるテクニックです。先行というのは往々にしてプレッシャーの掛かるものです。
結論から言うとM3を先行させて、後ろから追いかけたのですがダンロップコーナーでM3のブレーキが間に合わずコースアウトしてしまいました。グリーンがあるので相手のダメージはありません。ミスを誘発して抜けるところで確実に狙っていくというのは常套手段なのです。

ということで丸一日あったBMWのイベントは誰も接触事故を起こさずに無事に閉幕しました。
感想では4年前のM ドライビングエクスペリエンスの参加者の方がキレた走りであったということです。割と初心者が多い走行会という印象でした。Mシリーズでなくても奮闘できる難易度の丁度良い走行会なので、もし少し古いBMWに乗っているのであれば改造をせず、丁寧にメンテナンスして参戦してみて下さい。

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。