最早過去の作品を上げるしか能が無くなった写真作家の気分です。写真というのは、カメラを持たずに出かけた時ほど理想的なものが撮れます。つまり理想的な写真は撮れないということです。

とはいえそれでは記事にならないので過去のアーカイブからCanon EOS-R + Carl Zeiss Milvus 35mm F1.4 と、Nikon D4 + Carl Zeiss MILVUS 1.4/50 ZF.2を持って旅行に出たときの写真を解説付きで比較してみます。

Canon EOS-R + Carl Zeiss Milvus 35mm F1.4

ツァイスで初めて撮った一枚

本宅での一枚

キヤノンの操作に慣れていないので練習がてら造花を撮影しましたが、柔らかいボケと幻想的な一枚になっています。ですが余り気に入っていません、ニコンの描写に慣れると色の出方やボケ方、周辺減光に対して何か違和感を覚えます。発色がiPhoneに似ているような気がします。

こちらはご覧の通り猫の写真…。柔らかい毛と、ヒゲの白いコントラストが美しいです。右手前にあるデメルのチョコレートの箱の金と青、また左したのウェッジウッド・パウダーブルーの金と青の比較が非常に美しいと思います。
歳を取ってから、このような開放でボケた写真を撮らなくなりましたが、キャノンの優しい描写が出ていてアリかと思います。

ロンドラでの一枚。この一枚にキャノン+カールツァイスの方向性が凝縮しているように思えます。奥の暖炉の火と手前の花とアンティーク・サンルイ、シルバー類。
上手にまとまっていますし、確かに実際にこのような色味や配置でしたが、なんだかリアルすぎるというか、スタジオに配置してストロボで撮ったような広告写真になっています。ニコンの転んだ感じの描写の方が好みです。

そうは言ってもキャノンの驚きの青さ。特に屋外での青空で撮影すると標準のカラー設定にも関わらず青の彩度がばしっと出ます。筆者はニコンD2X信者でしたので、この青に憧れつつも、青が強く出ると偽物っぽいというか、うまく言葉にできませんが、この傾向の写真が好きな人には向いていると思います。

透明感があるリアリティのある一枚です。猫の毛並みと肉球、そしてアスファルトの染みや枯れ葉など、全てが肉眼で見たときに似ています。ツァイスらしいな〜と思える一枚ですが、先ほどの写真を撮った時の同じ設定、日にちも変わらないのに発色の傾向がガラっと変わります。キャノンとこのレンズに慣れていないと、理想的な色を一発で出すのは難しいでしょう。

フォックスアンブレラとグローブ・トロッターのトランクケースです。ロンドラの到着して、ポーターが運んできたケースをそのまま放置している感じが可愛いです。色の傾向はニュートラルで、まさに目で見たままと言えます。
ノイズも少なく、意識せずに適当に撮った写真ですが、いい感じです。ややコントラストが強い気がします。

銀のトレーにキリアンの香水があり、奥の水差しにはアルストロメリアなどを束ねた生花があります。水道のハンドルやティッシュの箱の鋳物まで可愛らしいです。レイアウトもせずに適当に撮影した一枚です。
気になるのがキリアンの白が飛んでいるところとです。この全体のトーンであれば白が飛ぶことは無いでしょ!!とニコン爺として強く感じます。洗面ボウルといい、白の階調性が低く、再現性が乏しいのでは?と思います。

Nikon D4 + Carl Zeiss MILVUS 1.4/50 ZF.2

マジマジのマジで、ニコンとカールツァイスの相性が悪すぎて売却しようと何度も悩んでいます。ファインダーで覗いてピントをあわせても写真が合っていないのです。所謂ピンズレで過去にはシグマとの相性でも悩んだことがありますが、こちらはオートフォーカスでなくマニュアルなのにズレます。

何が酷いって、カールツァイスに問い合わせすると英語の案内がきて、「ニコンになんとかしてもらえ」と「ライブビューで合っているならうちは正常」だと

Dear Customer,
Thanks for your reply.
So when using the focus confirmation dot, the AF micro adjustment in the camera´s menu should be the way to get perfect results. Unfortunately, Nikon camera bodies do not take any specific lens details into account from 3rd party lenses for AF metering and exosure metering, as they do with Nikkor lenses.
I´m sure you already know our articles about manual focusing with AF DSLR camera bodies.
https://www.zeiss.com/camera-lenses/int/photography/content/manual-focusing-with-af-camera-systems.html
https://lenspire.zeiss.com/photo/en/article/focusing-zeiss-dslr-lenses-for-peak-performance-part-two-tips-and-best-practices
https://lenspire.zeiss.com/photo/en/article/depth-of-field-and-manual-focusing
https://lenspire.zeiss.com/photo/en/article/exceptional-photos-require-time-and-patience-part-2
https://lenspire.zeiss.com/photo/en/article/exceptional-photos-require-time-and-patience-part-1

With Best regardsBertram Hönlinger
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これ以外にも返事が何通かあるのですが、問い合わせした返事の通り作業しても、全然ダメぽなのです。
いよいよ痺れを切らして新宿のニコンサービスセンターに持ち込んだのですが、他社製品なので調整は不可能だと…。大阪のサービスセンターではツァイスを持ち込んで調整してもらった人が居るそうなのですが。

まあとにかく写真のレビューに入りたいと思います。

いつもピントが合わないDV男が、とある瞬間だけ格好良くて超優しくて「うわ!好き!」ってなる感じです。
車の窓越しにシャッターを切ったのですが、森の反射と奥の人物との透過が絶妙です。ニコン標準の優れたレンズでは再現できない域です。

いつもは被写体を中心にして水平に撮ったり、三分割法を意識してみるのですが、なんか適当に撮った写真が可愛かったので選んでみました。子供がコンビニで売っていた使い捨てカメラで撮った感じが出てて好きです。この彩度が低いのと、絶妙にボケているのかパンフォーカスなのか分からない、絞りF9.0位の感じが使い捨てカメラっぽいです。
キャノンとは違う青色と、その影の部分の色合いがよい。

フォルダを整理していて、なんだこの写真…。あ!好き!となった一枚。
クリックして拡大して下さい。シャンデリアの鋳物の色とトーンに注目して下さい、光と影のバランスが得も言われぬ美しさです。エモイです。あ、エモイはエモーショナルか。
とにかくニコン爺で良かったと思える一枚です。

Septem Montes Romae 7つの丘に囲まれたローマですが、こんな日もあるのです。ぜひ拡大して、市街地を眺めて下さい。暗い部分も潰れることなく、表現されていることが分かります。また夕焼けの色合いが空に向かってグラデーションをなしているのも美しいです。

着色されたステンドグラスから柔らかい光が差し込み、ドレスと右の大理石を照らします。
まだまだ改善の余地はありますが、ツァイスらしい描写です。

特に気に入ってるのが、ヒールのエナメルに乗った白の光と、大理石の床に反射した靴です。拡大してみて下さい。

ライカが欲しい

ボケ老人みたいな、前後の文脈を無視した話なのですが、カールツァイスのニコンとキャノンで色々撮ってみた結果、限界を感じます。色々考えてみた結果、やはりジジイらしくライカのM10当たりの方が好きな写真が撮れる気がします。
しかし機材を一通り揃えると200万円位コストが掛かるので難しい…。うーん、リナシメントが爆発的にヒットして、広告収入がバク上がりするとか、太いスポンサーが付くとかしないとライカに移行しての更新は難しそうです。200万円余って困っている方おりましたら御声がけ下さい。

そんな訳でおわり。今日も酒飲むぞー!(はっしー)

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。