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貴重なカップ&ソーサーが出土しました。サイズからしてコーヒーカップ、薄手で光にかざすと透明感のある白磁に、手彩色と金彩絵付け。
高台がやや高く一見ではリモージュのようなシェイプに見えます。高台とハンドルには贅沢に24金が筆で厚塗りされています。高台の底は、釉薬の無い素焼きの状態でソーサーが傷つくのでは…?という疑問はありますが、バックスタンプにあるJewelled Porcelainのシリーズ名のように美術品として飾れるキャビネットカップとして相応しい仕上がりになっています。

カップの表面はエナメルを盛ったジュール装飾と、金絵付けの線の上に金盛りをするというテクニックを融合した非常にゴージャスな仕上がりです。ひとつ仕上げるのに長い時間が掛かったと推測できます。

外側は点盛りの金ですが、内側の金彩は厚塗りではなく薄く描かれています。バー・フライト&バー時代のロイヤルウースターにも似ているタッチです。個人的にはオールドミントンの方が洗練されていて、このような細かい部分に差が出ているように思えます。唐草模様ひとつとっても、少々野暮ったい印象を受けます。
離れて全体のバランスを見ると可愛らしいカップなのがまた面白いです。近づくと細かい部分が気になりますが、対面した相手が使っていれば100%素敵なカップ&ソーサーに見えるはずです。

20世紀初頭に米国ティファニーでガラスショーケースに並んでいたと思うと感慨深いのですが、現在の流通量からするとティファニーのタイアップは、同じ英国ミントンの方が主流であったと思います。このコープランドはハンドルの造形が甘く、型抜き時のバリが残っています。とても滑らかとは言い難くマイセンの水の戯れの方が仕上がりが良好です。また下地も焼きが甘く、指で叩くと空気を含んでいる音がします。とは言え一世紀以上経った現在でも細かな貫入が入っていないことを考えると優れた食器と言えるのかもしれません。
所有するR氏によると、米国ロサンジェルスで活躍するインポーターから独自に入手したものだそうで、似たようなカップを複数持っているとのことです。実際に飲み物を入れたことは無いそうです。

さて、バックスタンプから1900年前後だと思うのですが、この時期のティファニーとのダブルネームには”SPODE COPELAND’S CHINA ENGLAND”となっているものがあり、このカップ&ソーサーにはスポードが抜けているので、1891年より少し前なのかもしれません。英語版スポードのWikipediaには以下のようなバックスタンプ(Marks)が載っています。

Tiffany&Co.のスタンプも調べてみたのですが、正確な時代は分かりませんでした。二重線の飾りに囲まれて星が4つ、中央に細長い三角に丸、細長い三角というウェッジウッドの緑壺時代と似たようなマークがありますので資料があれば特定は可能だと思います。

そんな訳で久々のカップ&ソーサーのレビューでした。(はっしー)

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。