「フェラーリが欲しい」と言う青年実業家と一緒に、コーンズのショールームに訪れた事があります。
コーンズには様々な高級車があり、フェラーリ、ランボルギーニ、ベントレー、ロールスロイスなど雑誌や映画に出てくるようなスーパーカーが並んでいるのです。

コーンズのショールームは”今”買う人の為にある

私は中古で手に入れた5年目のBMWを維持するのが精一杯なのですが、同行した彼は資産家でもあり3,000万円以上するような超高級車でも気軽に手に入れることができます。しかしお互いにまだ若く20代後半にさえ見えてしまう年齢です。
中で私達が立ちながら商談していたのを外から見たのか、驚くことに学生のグループが”間違って”入ってきてしまったのです。

「お、コレ○○の新型車じゃん〜!」

車に興味がある男の子たち4人組が楽しそうに新型車を覗き込みます。少ししてから、社員にやんわり断られたのか退店しました。実はコーンズのショールームは”今買う人の為”にあるのです。
間違ってしまいやすい理由がBMWやベンツ、レクサスなどの”やや高級車”は誰でも歓迎するカジュアルなショールーム・モデルルームを公開しているのです。例えばお台場の「BMW GROUP Tokyo Bay」ここではBMWの展示車両が何十台も揃いカフェコーナーも充実しています。学生でもアルバイターでも免許証さえあれば試乗も可能なのです。

家族連れや赤ちゃん連れでも楽しめるような場所で、誰でも間近でBMWに触れる事ができます。もちろんその場で商談して購入することも可能です。

しかし一方でコーンズは良い意味でも殺伐としていて、「購入前提」もしくは「良ければ買う」という強い動機を持っている客層だけが扉をくぐれるのです。または「今乗っているアストンマーチンに飽きてきた」という動機でも歓迎されることでしょう。私はリッチな彼の同伴者として黒子のようにこっそりと入店したのですが、それでも内心恐怖心さえ感じていました。何しろ以下のような中古車が商品として並んでいるのです。

常識を超えた富裕層でないと厳しい

先ほどの学生は完全に間違えて入店してしまった人ですが、社会的にステータスのある年収1,000~2,000万円の人も”間違って入店しやすい”と言えます。車両価格が6,000万円を超えるような車ということは少なくとも金融資産が10億円以上、信じられないクラスの顧客が買い物に来る訳です。
もちろん手頃な価格の中古車もあり、ベントレーのコンチネンタルGTの中期型などが1,000万円程度で販売されています。
しかしコレも罠が仕掛けられています。

ちょっとした法定点検で200万円かかる

BMWの1,000万円とベントレーの1,000万円ではその後の重みが全く異なるのです。BMWは例え中古車であったも延長保証で数年間も無料で様々な修理ができ、BMWの代車も無料で手配してもらえます。法定点検も安くて6シリーズを少しメンテナンスしても10万円あればお釣りが来ます。

しかしコーンズに法定点検を以来した彼は、見積書が250万円であったそうです。見るとエンジンオイル漏れの軽修理とサスペンション関係のブッシュ交換などで、ミッションやエンジン載せ替えではありません。最も驚いたのが修理で使うボルト=ネジが1本6,000円で計上されていたことです。修理交換で30本使うとそれだけで18万円。とにかく何もかもがぶっ飛んでるのです。

つまり中古車の取得価格が安かったとしても、法定点検でのメンテナンスや車検での修理費用を払うには、それこそ年収が3,000~4,000万円あるビジネスオーナーでなければいけません。

安心のドイツ御三家、ちょっとリッチなポルシェ
エンスージアなマセラティとアルファロメオ

少し輸入車に興味があるなら、先ずはMercedes、BMW、Audiの御三家。この正規ディーラーであれば目が飛び出るような見積もりは余り起こりません。むしろ延長保証が手厚く国産車よりも維持費がかからない事だってあるほどです。
近年は故障もしにくく本当に手間がかかりません。

次にポルシェです、御三家と比べるとややコストは掛かります。各社のプレミアムクラス、例えばAMGやMモデルの維持費と同等でしょうか。それでも旧車やGT3などの特別車でなければ法定点検整備で250万円はまず有り得ません。

エンスージアなマセラティとアルファロメオ、なぜかイタリア車は愛好家や面倒を見てくれるラテン車専門店が数多く存在して、そういった面倒見の良い店を選ぶと、それこそドイツ御三家よりも安く修理してくれたりします。
リビルドなどの再生品やノーブランドパーツなどを流用してトヨタ並のコストに抑える店もあるくらいです。

ですので我々一般人は間違ってもコーンズの扉を超えないようにして、営業時間外にガラスの外から眺める程度にしておくのが良いのです。

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。