先に言ってしまうと、私達は最も良いアンティーク市と言われるサンブリー・マーケットに行くことができませんでした。
サンブリー・マーケットは郊外で毎月第2、第4火曜日に開催される大型のイベントで、競馬場の横の大きな駐車場で行われます。タイミングを合わせて訪英しないと訪れることができないのが悩みです。
開催日が変則的な事もあるので、公式サイトでしっかりと開催日を確かめてから行くと良いですね。

ポートベロー・マーケットでアンティークを買う

さて私達に残された選択はロンドン市街のポートベロー・マーケットだけです。
地下鉄のノッティングヒル・ゲート駅から徒歩約5分にあるポートベロー・マーケットは市街地を歩いていると突如として始まります。

写真のような小さなブースが数百件並んでいて、朝7時頃に到着しましたが、それでも百件ほどは余裕で営業していました。話によると朝の早い時間帯だけプロのバイヤーが買い付けに来るそうです。慌ただしく買い付けの交渉をしている姿なども見かけられました。

ポートベロー・マーケットの物量は凄まじく、銀器だけでも数千点と並びます。何しろたった一つの店を例に上げても200~300個以上の在庫があるのです。マーケット全体では数万点近い商品があってもおかしくはありません。

陶器は陶器、ガラスはガラス、銀器は銀器とジャンルごとに分かれているのが特徴的です。その中でも比較的高い店や安い店などはっきり棲み分けがされています。
銀器もシルバープレートからスターリングシルバー専門店、ゴールドメッキ専門など本当に細分化されて専門店がひしめき合っています。

ポートベローは可愛いものが手に入る!

ポートベローはこれに付きます。いわば”中の下”から”中の上”の商品が多いのです、貴族が使っていたような格別に質の高いアンティークは、ほとんど流通していませんでした。また”掘り出し物”というのも少ないです。
何しろアンティークのプロがひしめき合っているので、「相場」というものが強く意識されていて、ボッタクリやお買い得品というのが余り存在しません。しかし日本で流通していないアンティークが何千個と並んでいるので、「可愛いもの」や「好きなもの」を手に入れるのには向いています。写真の銀のトレーひとつ上げても数百個あるのですから、小物を置いたりフルーツを置くコンポートなど選び放題と言えます。
ロンドン市街のイベントということも有り、目利きでお得なものを見つけるというのは期待しない方が良いでしょう。

値引きは不可能、そして午後は大混雑

何件か買い物をしましたが、値引きは多くの店で不可能でした、引いてもらっても10万円相当買って数百円から千円程度です。
1~2%程度値引きできるかどうかというレベルです。イタリアの田舎にあるアンティーク店だと、「んん〜半額でいいよ!」なんて事もあるので対応がイギリスっぽいなぁと実感しました。
トルコ・イスタンブールであれば、90%オフも夢ではありません、なぜなら定価が10倍になっているのですから。

ポートベローは8時30分〜9時頃になってくると観光客が増えだし、10時~12時なると信じられないほど多くの人混みになります。歩くのも大変なほどで、平日朝の品川駅のホームのようです。タチが悪いのが90%以上の人が買い物をしていないのです。「とりあえず見てみたい!」という客層のせいで本当に欲しい人が見れないのです。
道行く人の中で買い物バッグを持っている人は10人に1人以下なのです。手ぶらで遊園地のようにフラフラして大混雑なので、本当に買いたいのであれば昼には撤収するつもりで行くと良いでしょう。

銀器は慎重に選ぼう

多くのシルバーアンティークが並んでいますが、高価な商品を買うのは慎重になった方が良いです。シルバープレートかスターリングシルバーかは殆どの店員が嘘無く正直に答えてくれるのですが、中には質の低いシルバー、銀の含有量が少ないシルバーや洋白(銀は入っていない)カトラリーなども流通しているのです。
複雑な形状をしているのに黒ずみや変色が全くない、「何かおかしい」と少しでも思うのであれば控えた方が良さそうです。よほどマニアであればホールマークを見て判断できるかもしれませんが、初心者〜中級者には難しいでしょう。

どこで買っても損しない

とても多くの店が出ているので、つい「他の店の方が安いかも?」とか「次の店で安く売られていたら嫌だなぁ」と思うこともあるはずです。しかし先ほども説明したように相場が安定しているので、無駄に高く売りつけられることや、とても安く売られている、というのが少ないのです。
合計で10件ほど買い物をしましたが、いずれも値引きができなかったので、プライスタグに納得するのであれば次から次へと買っていっても後ほど「損したなぁ」と思うことはまず無いでしょう。
唯一ボッタクリに合ったのが、折りたたみ傘を売っている店で「これ下さい」と言ったら足元を見られて「25ポンド!(3,500円)」と言うではないですか。100円均一のようなクオリティでしたが、近くにはコンビニも存在しないので渋々10ポンドで購入しました。このようなお土産や雑貨などはボッタクリにあう可能性もあります。

また額縁に入ったコピー画を4枚で20ポンドで売っているような出店もあります。原画が可愛いので納得して購入したのですが、ジクレープリントでもない、ただのコピー画としては高い価格と言えます。アンティーク商などの正規の店は堂々の価格で売っていて、そうでない観光客向けの店では2〜3倍でふっかけるということがあるので留意しておくと良いですね。

ゆっくり買い物したいのであればAlfies Antique Marketがお勧め

ポートベロー・マーケットは慌ただしいアンティーク市を楽しむのであれば楽しい経験ですが、ゆっくりと接客を受けて良い商品が欲しいのであれば、アルフィーズ・アンティークマーケットがお勧めです。
規模も非常に小さく20件程度の店がひしめき合ったマーケット、日本で言う「アンティークマーケット吹上」のようなところです。こちらは仕入れなど無く、モールのような形式ですので朝が遅く昼ころから店がオープンします。
来客も少なくゆっくり買い物できて、しかも価格もポートベローマーケットとそんなに大差が無いという隠れ家的な場所です。

そんな訳で、私達は次こそ最大規模のサンブリー・マーケットに早朝に行こうと心を決めたのでした。

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。