みなさまこんにちは、ライター高橋です。古今東西数多の素晴らしいピアニストがいますが、20世紀最高としてふさわしい人物はやはり何と言ってもホロヴィッツです。本稿では彼についてお話させて頂きます。

ホロヴィッツというピアニスト

ホロヴィッツは1903年に現在でのウクライナにて生まれた、ユダヤ系のピアニストです。スカルラッティからプロコフィエフに至るまで非常に多岐にわたるレパートリーを持っており、そのすべてにおいて数多くの名盤が残されています。ホロヴィッツはレパートリーに対する強いこだわりがあり、演奏会などで取り上げるプログラムにもそれが色濃く反映されています。また、協奏曲の録音は限られますが、ラフマニノフの3番の協奏曲を始め、チャイコフスキーの1番やベートーヴェンの皇帝など、いくつか残しています。

その1番の特徴は何と言っても彼の持つ類い稀な音色にあります。雷のように凄まじいフォルテッシモから、天使の歌声のようなピアニッシモまで極めてダイナミクスの幅が広く、同じ音量であろうと音色の変化をいとも容易くつけるなど、ピアノをまるで手足の如く自由自在に操ることができました。

演奏時のホロヴィッツのハンドポジション

その理由として1つあげられるのが、ホロヴィッツ独特の特殊な奏法です。通常のピアニストの打鍵時の腕や手のポジションでは考えられないほどにホロヴィッツの手は鍵盤と平行になっており、まるで指の先でなく全体で鍵盤を抑えているかのようになっています。その奏法によってどのようなタッチが生み出されるのかは断定できませんが、おそらく現在ピアニストの中で注目されている、ロシアンピアニズムなどに代表される脱力奏法の一種の究極系と言えるのではないでしょうか。また、通常ではこのハンドポジションでは到底弾きこなせないような高速のパッセージでさえも、ホロヴィッツは軽々と弾いています。

ホロヴィッツはこの特殊な奏法を持つがゆえか、生涯に渡ってほとんど弟子を取らなかった事でも有名です。ホロヴィッツのような音色を手に入れたいがために、演奏スタイルなどを模倣する者があとを絶たなかったとも言われています。

ホロヴィッツはなぜ伝説なのか?

ホロヴィッツに限らずとも、華麗な超絶技巧を持ったピアニストは数多くいます。しかし、なぜここまでホロヴィッツが特別な存在として扱われているのでしょう?

こちらに関しても確実な答えはありませんが、まずホロヴィッツの非常に気難しい人間性が理由にあげられると思います。彼は人付き合いが悪く、癇癪を起こすことも多々あるなどと自己中心的な側面をかなり持っていました。その圧倒的自我が、ある種のカリスマを生んでいたのかもしれません。またホロヴィッツはその生涯に渡って、健康上の理由などで度々演奏活動を休止していました。しかし、復活するたびに伝説ともされている名演を行なっていたことなどが、彼の神秘性を高めた理由の1つとなるでしょう。

ホロヴィッツのオススメのCD

先ほどもお話したように、ホロヴィッツのレパートリーは非常に多岐に渡って います。その為全てを紹介しきることが難しいので、絶対に持っておくべき名盤をいくつかご紹介させていただきます。

まずは何と言ってもホロヴィッツ・ショパン・コレクションです。ホロヴィッツはショパン弾きとしても有名であり、マズルカやポロネーズ、ソナタに至るまで非常に多くの作品の録音を残しています。このアルバムは、それらを総結集した物となっておりますので、是非持ってくべきでしょう。

次に、 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ピアノ・ソナタ第2番をオススメいたします。ラフマニノフの3番のピアノ協奏曲はホロヴィッツが録音を残した数少ない協奏曲であり、ピアノ音楽の最高傑作の一つでもあります。同じくラフマニノフのピアノソナタも名作であり、さらにホロヴィッツは作曲者自身の許諾を得てホロヴィッツ版として編曲したものを弾いています。どちらも是非聴いておきたい作品となります。

最後に、ライブ版として、1966年 カーネギー・ホール・コンサートをオススメさせていただきます。こちらは、ホロヴィッツが生涯に渡って演奏会を開催していた、ニューヨークのカーネギーホールでのライブ録音になっています。非常に聴きやすい作品が多く、それでいてホロヴィッツの持つ極めて素晴らしい音楽性を体感することができるでしょう。

おわりに

20世紀最高のピアニストであるホロヴィッツの紹介、いかがでしたでしょうか。今後も様々な名演奏家の紹介をしていきたいと思います。また、リクエスト等ありましたら、お気軽にコメントいただければ幸いです。

 

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ピアニスト・音楽家 主にクラシック音楽に関する事柄を執筆いたします。