以前「美味しい透明なアイスティーを作る方法」を紹介しましたが、今日は誰も語ることのない、本当に美味しい美味しいアイスコーヒーの作り方を紹介します。

まずは非加熱、非濾過の天然水を汲みに行く

標高、水源、採水地によっても味が異なります。同じ湧き水でも数メートル違うと地下の水脈が異なり、硬度や味が違うので何箇所か水の味見をしつつ良質な水を選びます。中でも富士の雪解け水は最高です。しかし標高が高ければ良いというわけでもなく、富士山本宮浅間大社の境内にある「湧玉池」は低標高にも関わらず滑らかな味の水が湧き出ていて、毎日約30万tが湧き上がり、近くでは日本酒も作られています。

なんていうのは難しいと思うので、家庭ではペットボトルの天然水を使うと良いでしょう。え?値段が高いって?
そんな時は利根川/荒川水系の水を濾過してコーヒーに使いましょう。
我が家でもお世辞にも美味しいとは言えない隅田川のTOKYOウォーターを濾過して利用しています。

不味い東京水を改善する方法

まずはブリタなり、クリンスイなり、パナソニックなり浄水器や浄水器ポットを用いて、塩素やトリハロメタンを除去します。中でも「マルチピュア浄水器」がお勧めで、水質が改善されます。ウイルスや細菌が除去されると書いてありますが、水道水にウイルスや細菌が混入していたら大問題になる訳で水質汚染はまず在りえません。単に塩素臭さや劣化した建物側の水道管の金属臭さが除去されます。

その後に「国産白炭 土佐備長炭」を水出しサーバーに入れて10時間以上置きます。これで滑らかな水が初期費用だけで手に入ります。浄水器のカートリッジや炭は定期的に交換しましょう。

アイスコーヒー用の美味しい氷を作る

薄まらないために抽出したコーヒーを冷凍庫に入れてアイスブロックを用意する喫茶店もありますが、その方法は余り好きではないので、今回は美味しい氷を作りたいと思います。
もちろん氷屋が貫目単位で売っている純氷がベストですが、夏場頻繁に飲むアイスコーヒーですので自家製の氷で淹れてみます。

先ほど作った浄水とジップロックを利用して冷凍庫で氷を作ります。一度煮沸させると透明感が出ると言われていますが、面倒なのでそのまま冷凍しています。コツとしては2~3日で氷ができますが、5日以上放置しておいた方が硬く溶けにくい氷になります。

氷をアイスピックで砕くのですが、この時にコツがあり透明度の高い部分と、白く濁った部分で分けておくことです。写真下で言う右側は透明度が高いので重宝しますが、左の白い部分は捨てるか、冷却用の飲用に使わないようにします。

ご存知の通り白く濁った部分は水に溶け込んだ空気ですが、ここにミネラルや不純物が混じっています。透明の部分と白い部分で分けて、溶かして飲むと透明の方が美味しいことが分かります。白い部分は無味と言われていますが美味しくないので捨てましょう。

砕いてから再び冷凍庫で保存すると良いです。特に透明な部分はウイスキーのロックなどお酒でゆっくり飲む時にも使えます。

美味しいコーヒーの準備

さてこれで美味しい水と氷の準備ができました。コーヒーを淹れるのはネルでもサイフォンでも良いのですが、私は慣れているペーパードリップを利用します。コーヒーの淹れ方や好みというのは賛否両論で、信じられないほど細分化して、キリスト教もびっくりなほど宗派が分かれています。私は円錐形ドリッパー晒しペーパー派です。
長年、未晒しのペーパー派でしたが、珈琲オヤジに教えを受けてから晒しペーパー派に改宗しました。

コーヒー豆の選定と買い方、選び方

いろいろな店でコーヒー豆を買ってきたのですが、ここ数年はマインドコーヒーで買うことが90%以上です。
静岡市の草薙にあるマインドコーヒーは小さなお店ですが、素晴らしい豆を豊富に揃えていてコロンビア・ウィラ・ティピカ、ニカラグア・パカマラ、ブルボンピーベリークラシコなどマニアが唸る良質な豆が手に入ります。

コーヒーマニアの中には、COE(カップオブエクセレンス)だとかスペシャルティコーヒーだとか、協会や識者による点数を有難がる人が多いですが、マインドコーヒーは点数が無いにも関わらずキレッキレの美味しい豆を売ってくれます。
安価なハウスブレンドでさえ美味しいのでぜひとも試してみてください。

どこのお店でも良いので美味しいコーヒー豆を手に入れるのが重要です。アイスコーヒーには深入りと紹介している書籍やサイトが多いですが、中煎りでも美味しく入ります。ようはその豆がその煎り方と淹れ方に合っているかが最も重要なのです。例えば米であっても新米と古米では浸漬の時間も火力も炊飯の時間も異なります。
同じようにコーヒー豆と要り具合、挽き具合、お湯の温度、淹れ方を調整します。

その前に手に入れた豆を大きな更に広げましょう。このマインドコーヒーは店主が丁寧にハンドピッキングしているので欠点豆が殆どありませんが。都内の喫茶店で売っているコーヒー豆は全くピッキングしていない焙煎豆も存在するので、自分で最終確認を行います。貝殻豆、カビ豆、カケ豆、未成熟豆などが欠点豆とされ味の劣化につながると言われています。

飲む直前にコーヒー豆を弾く

コーヒーミルは何でも良いのですが、二枚刃よりもカッティングタイプが良いです。ナイスカットミルやナイスカットミルGも良いのですが、「フジローヤルのみるっこ」は挽くのが早く、安定感があり挽き具合が均一なので特にお勧めできます。飲む直前に挽くようにしましょう。
設定は最も粗挽きにしていますが、好みによって中粗挽きでも良いです。挽き具合で味が劇的に異なるので注意が必要です。

これもかなり賛否両論なのですが、ペーパーを一度水で流しています。ネルよりペーパーが好きなのですが、紙臭さが気になります。ネルの場合は紙臭さは全く無いのですが、コーヒー由来の美味しい油が抜けてしまう事があるので、味は紙の方が好みです。絶対に水や湯で洗ってはいけないと指南する喫茶店も存在します。

銅のポットで湯を沸かそう

これも賛否両論で、というかコーヒーの淹れ方自体が様々な技法と趣向があり、地域や人によって大きく異なります。しかしまあ銅のポットで沸かした湯がまずいという事は無いでしょう。カリタの銅ポットはお勧めですが、写真のタイプではない蝶番付1.5Lの方が絶対に使いやすいです。蓋が取れない方が便利です。あと必ず持ち手がプラスティック製のものを選びます。でないと毎回タオルで握ったり、やけどする事になります。

しかしまあ、注ぎ口の細いドリップケトルの方がお湯の量をコントロールしやすいです。

先が長く曲がっているので少しだけ湯を出したり、均一に蒸らしたりできます。この当たりは好みで選ぶと良いです。
初心者であれば先が長いものを選ぶといいでしょう。
写真右にあるデロンギの電気ケトルで沸かしてから銅のポットに移すのもOKですが、少しコンロで火を淹れて2分ほど煮沸させると良いです。

湯の温度と蒸らし時間

これぞ宗派による対立の尽きない大問題のひとつ湯の温度と蒸らし時間。お湯の温度は82~83度、蒸らし時間は20~30秒が良いとされます。私の個人的な好みでは、マインドコーヒーで買った豆でアイスコーヒーを淹れる場合は、極粗挽きで、湯の温度は90度ほど蒸らしが60~80秒が美味しく入る傾向にあります。

ベースになる豆によって大幅に違うので、一度目は比較的温度を上げて、長時間の蒸らしでドリップ。それで美味しくないのであれば、二回目は温度を少し下げて、蒸らしを10~15秒の短いタイミングでササッと淹れてみます。

大抵どちらかが美味しいので、そこから答えを突き詰めていきます。ゆっくりと時間を掛けてか、ササッと落とすかです。

コーヒーの落とし方

今回淹れてくれた人は、銀座の喫茶店育ちのオールドスクール派なのでネルでしか淹れません。しかし無理を言ってペーパーで淹れてもらいました。この時も、土手をくずさない従来の方法で淹れています。
私の場合は土手をガンガン崩し、撹拌して湯が均一に回るようにして淹れるのが好きです。アイスコーヒーの場合は湯の量が多くならないようにドリッパーに対して半分程度の高さでやめます。

この淹れ方も十人十色で、ランバルディは「油が混じるので絶対に落としきらないでサッと淹れる」と言います。私はモタモタと時間を掛けて淹れることが多いです。大切なのはそのやり方で美味しくなかった場合は別の方法で次回チャレンジするということです。繰り返すことで、その豆に合った美味しいやり方が見つかります。

コーヒーの冷やし方も様々

急速冷却といって、氷の中に熱々のコーヒーを注ぐやり方を指南しているサイトが多いですが、私達はその方法は水っぽくなり雑味が出やすいと考えています。今回のゲストは急速冷却と言えば、水氷でサーバーの外から冷やす方法で上記写真のようにします。そこでぐるぐるとかき混ぜて冷やします。

私はどちらかというと流水で冷やす方法が好きです。濃い目に出して、この方法で15度程度まで冷やして、そこから先ほどの氷を入れてマドラーで回します。

しかしアイスコーヒーというのは難しいもので、朝食にホットコーヒー用に抽出して余ったものを午後に氷を入れて飲んだら、信じられないほどに美味しい、という経験も何度かあります。常温まで放置するのが美味しいなんてこともあるのです。

グラスや提供方法も人それぞれ

ワイングラスのようにステムがついたグラスは優雅に飲めます。やはり個性が出るところで、純喫茶に慣れている人はこのような提供方法が一般的です。しかもアイスコーヒーを冷やしすぎずにちょいヌルで氷を取り除いて出します。
そしてめちゃくちゃ濃いのが神田系や神保町系のアイスコーヒーです。

私はどちらかというと、グラスを目一杯敷き詰めたサンルイのような薄手のタンブラーに濃いコーヒーを注ぎ、マドラーでグラスが汗をかくまで冷やして飲むアイスコーヒーが好きです。

アイスコーヒーとは究極の料理でもある

たかがコーヒー、されどコーヒー。味の好みや温度の好み、抽出方法までありとあらゆる範囲で様々な手法が存在します。こうなると単なるドリンクではなく料理の域であるとも言えます。

例え同じコーヒー豆でも淹れる人によって味が全く違うのも特徴的です。紅茶よりも遥かに淹れ手に対してストイックで様々な味に変化します。そんな特徴が楽しさでもあり、偶然にも完璧で理想的な味が完成したときの喜びは言い表せません。道具もお金がかからないので、リナシメントの読者の皆さまも美味しいアイスコーヒーに挑戦してみてください。

また、美味しい淹れ方があれば編集部まで教えてくださいね!

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。