田舎暮らしのメリットとデメリット

はっしー

私は10代の頃に人口70万人という田舎とも都会ともいえない静岡市に住んでいました。20代前半の時に駅まで車で1時間の田舎に移住しました。現在は東京都内に住んでいるのですが、都心・やや田舎・非常に田舎という極端な場所に住んで分かった田舎暮らしのメリットとデメリットをまとめてみます。

田舎暮らしのメリット

新鮮な野菜と水

田舎が素晴らしいな!と感じるのは新鮮な野菜と水です。
水道を捻ればミネラルウォーターよりも美味しい湧き水が飲めて、それを紅茶や珈琲、料理にも使えるどころか温泉のように毎日お風呂に入れるので贅沢です。東京に戻ると水のまずさに驚きます。とはいえ数日でそのまずさにも慣れてしまうのですが。
野菜も同じように朝採りの土付きが当たり前のように流通していて、なんなら近所のお爺さんがスーパーカブで家に寄って無料で分けてくれるほどです。川魚を貰ったこともあります。都内の高級スーパーや三越伊勢丹などの百貨店の野菜とは比較にならないほどに美味しいので、野菜が好きな人は田舎暮らしは向いているかもしれません。

四季の移り変わりを実感する

春夏秋冬という言葉がありますが、都内に住んでいると移り変わりが実感できません。ダラダラと温度が変化するだけです。しかし田舎だと、「あ、今日から秋だ」というように空気や風、木々の匂いと色の変化、鳥や虫、湿度など様々な合図があります。
冬から春を迎えるときは特に心地よく、厳しい寒さから暖かさを迎えるときは喜びを感じるほどです。朝露で濡れた新緑の雑草でさえ美しく思えるのです。しばしば京都の庭に雪が積もったようなイメージ写真や、インスタグラムのフィルターで彩った紅葉の写真をSNSに投稿して「日本の四季」などと流行っているのを見かけますが、都会の人は大袈裟なイメージでなければ四季を実感できないからです。その点では自然以外に何もない田舎の方が、四季の合図を実感しやすいといえます。

渋滞や混雑とは無縁

私が住んでいたところは長期連休に混雑しましたが、観光地でなければ基本的に多くの田舎は年中通して渋滞や混雑とは無縁といえます。過度な田舎では信号の数が極端に少なく、30分以上も運転しているのに一度も信号で停車することなかったりします。これはなかなかに快適で、早朝と深夜は車を1台も見かけないこともあるのです。
ただし人口が10万人程度の「人が集まった田舎」というのは地獄で、そういう小規模な町では中心地に商業施設などが集中する傾向にあり、仕事の通勤なども全員が車なので渋滞が酷いようです。

人よりも動物が多い

朝目覚めるのは窓から差し込む木漏れ日と鳥の声、田舎暮らしに許されたささやかな贅沢です。今日は鳥の声が多いな、とか外を眺めていると遠くに鹿が見えたり、人間よりも動物と生活しているのだと実感します。
都会に住んでいると天然の動物なんてものは存在せずに、せいぜい野良猫や新宿の丸々太ったドブネズミくらいです。田舎には猪や鹿、ハクビシンや狐、キツツキやキジなどが生活をしていて、人間はそのなかの一つでしかありません。近所の知り合いは庭に来ていたリスにエサを上げたら、毎日エサをもらいに来たそうです。

好きなことに集中できる

田舎暮らしというのは事実上の軟禁になるので好きなことに集中できます。気が逸れることが少ないということです。都会に住んでいると様々な業種の店が入れ代わり立ち代わりで現れて、イベントやライブも存在します。窓の外には沢山の建物に囲まれて、喧騒の中で集中するのは難しいといえます。
その点、田舎暮らしでは自分の時間が無限に続き、窓の外に刺激が無いので好きなことに集中できます。

音楽や写真が楽しめる

一軒家で隣の家も距離があるので、深夜に大音量で音楽や映画を楽しむこともできます。何時でも好きな時にレコードでクラシックを聞いたり、窓の外から森の心地よい風を部屋に入れながら音楽を聴くこともできるのです。
部屋の全ての窓を開けたまま音楽を聴くのは非常に気持が良いです。他にも写真撮影を楽しめます。
写真を趣味にするなら田舎の方が楽しい!」でも紹介しましたが、都内の無機物や用意された物を撮ることほどつまらないことはありません。カメラ片手に森林に入っていったり、河川を濡れながら登ったり、岩肌の野生の動物を撮ったりと、田舎暮らしと写真の相性は良く、毎日様々な絵を撮ることができます。深夜でさえ長時間露光で撮ることもできるのです。

農作物や花を育てられる

料理が好きな人には最高の環境です。玄関の前にハーブ、ミント、野菜などを育てておけば、料理中に摘み取ることができます。都会のどんな高級レストランの野菜でも、”今”摘んだ無農薬野菜の香りに敵うものはありません。
摘んだ野菜の表面からも香りが漂ってきたり、瑞々しい食感は田舎でしか楽しめないものです。
広い庭があればローズガーデンも可能です。庭にテーブルセットなどをおいて花に囲まれて紅茶をするのも贅沢です。
これに慣れると、都会に引っ越してローズガーデンを見ても、家の庭ほどしかないバラ園に何で何十人も詰まって写真撮るんだろう…と哀れに思います。

単価が安い土地で遊べる

造園工事やDIY、駐車場など土地が安いので手軽に楽しめる利点があります。都内だと港区では坪単価が平均579.2万円/坪。ところが超田舎に行くと3,000円~5,000円/坪なんて土地が数多くあります。宅地ではない農耕地や山林ですが、タケノコや山菜を採ったり、BBQエリアを作ったり、結構なんでも自由にできます。私が住んでいた村には違法に掘っ立て小屋を設置して住んでいた怪しい村民も存在しました。今どきは大規模なソーラーパネルを設置してゴニョゴニョ…なんて悪い人もいるようです。

バイクや車好きには最高

都内に引っ越してから車やバイクへの興味が全く無くなりました。湾岸線で走っている人もいるようですが、田舎の運転の楽しさは格別です。オープンカーやバイクで夏の深夜に走り回るのは痛快で、排気音が小さくとも十分に楽しめます。私は車の改造は一切しない趣味ですが、様々なドライブスポットを走り回りました。
高速道路から他県に遊びに行くのも、道が空いているので気軽に移動できるメリットがあります。

夏も冬も天体を楽しめる

田舎の楽しみの一つが「天体観測」これは全国各地共通のようで、九州の離島に遊びに行ったとき、地元の20代の男の子と仲良くなったのですが、携帯電話の電波が入らないような島の楽しみが「天体観測」で、夜は船が出ていないので外でタバコを吸いながら天体を見るくらいしか無いと言っていました。
私が住んでいたのは本州なので、ここまで渋くないですが、夏も冬も天体観測を楽しむことができます

田舎暮らしのデメリット

仕事がない

今でこそリモートワークが確立されつつありますが、田舎で仕事を探すのは困難を極めます。企業が少なく、物流や経済とは無縁であることが多く、小さな農家や工務店などが中心となります。人口60万人の静岡市でさえ事務員が月給13~15万円、歯科衛生士でさえ20万円前後という実情です。資格や経歴がある場合は別で、薬剤師の友人は故郷の岩手県で働いていましたが、どんなに田舎でも薬剤師は需要があり、むしろ人手不足なので賃金は高いそうです。
医師、薬剤師、弁護士など国家資格と実歴がある場合は田舎暮らしでも都会と変わらない収入かもしれません。手に職が無いと厳しいのが田舎です。

刺激が乏しい

私がもともと住んでいた静岡市は程よい田舎で、レストランも数多く、夜のバーも数十軒以上あります。コンパクトな街でありながら毎日楽しい生活を送っていました。しかし、超田舎に引っ越してからはレストランどころか飲食店が1~2件しか存在せず、それらも村居酒屋?のような感じで初見殺しで入れる場所ではありません。
村の集会所にキッチンが併設されているようなものです。そうなると自ずと家で毎日過ごすことになり、単調な日々が待ち受けています。

高齢化社会で友達ができない

「超高齢化社会」と新聞記事で煽り立てますが、都会では信じられませんが田舎では人口の大半が65歳以上なのです。それどころか、50代や60代は”若者”と揶揄されて、70~90代が最もボリュームゾーンなのです。過疎化した限界集落の多くは今後10年、20年すると消失する可能性さえあります。
そんな中で20代というのは希少な存在で、優しくしてもらえますが、同年代の友人はまずできないでしょう。何しろ村に数人しか居なく、大学や就職で地元に残っている人なのです。集会で若い人と会話しても何も噛み合わず、価値観が合うこともなく撃沈でした。

異性との出会いも厳しい

新海誠や細田守の田舎で恋をするような映画作品は、都会人の妄想に過ぎません。上記のように、そもそも10~20代が絶望的に少ない状況で、同性の友人さえできないのです。たとえそんな中で奇跡的に出会って交際を初めたとしても、村の中で筒抜けで、「いつどこどこで見た」とか「結婚はまだか?」と追い立てられ、別れた時は誹謗中傷の嵐。田舎の人は陰湿も居て、誰と付き合っていた誰が、今度は新しい男に…などと村の交友関係が図に起こせるほどです。
規模の大きな静岡市に住んでいたときでさえ、合コンで席が一緒になった女性が、仕事で会ったことのある県議会議員の娘だったりと、どこに地雷が潜んでいるか分かりません。

レストランやカフェが無い

先ほど薬剤師の友人がいると書きましたが、その友人に会いに岩手県のある市に行ったのですが、近くに喫茶店やカフェが1件も存在せず、ナビで見ると「最寄りのスターバックスまで367km」「最寄りのドトールコーヒーまで123km」などと信じられない距離が表示されます。ネットで隅々まで検索しても、その市には喫茶店が存在せず、市に1件だけ存在するケーキ屋さんに併設された4席のひとつでコーヒーを啜った思い出があります。
夜ゴハンは市に1件だけある洋食店、あとはビデオを借りるボロいツタヤとコンビニしかないのです。彼は「お金が貯まるよハハハ」と笑っていましたが、これでは使う場所が存在しません。

飲みに行けない

今考えると20代前半で良く田舎で生活をしていたなと思います。都会だと飲みに出れば、良くも悪くも出会いがあり、隣のお兄さんと仲良くなったり、店主と仲良くなったりするものです。そういった出会いもなく、会話も無く、店の料理も無く部屋で毎日過ごすのは結構辛いかもしれません。一人きりで過ごすのに慣れている人には田舎暮らしはおすすめできます。

衣服や家具、家電など何も売っていない

昨今はアマゾンで翌日配送ですが、新しい家電や服を買うときに手に取って選びたいものです。カメラひとつ試すのも東京まで足を運ばなければいけないのです。少し高級なモデルなどは中規模の街に行かなければ存在せず、中古品を触って比較して買うなんてのは秋葉原や大須、日本橋(大阪)でないと不可能です。
家具もネット通販だとサイズ感や色合いなど分からないので、結局買い物をするには都会に行くしかないのです。

病院が遠い

幸いにも病気になることはありませんでしたが、何か大きなケガをしたときに不安です。
家の外にも人が通らないレベルの田舎だと、庭作業中に急病で倒れても何日も見つけてもらえない可能性があります。都会であれば部屋から出て声を上げれば、誰か助けてくれるかもしれません。隣人付き合いが無いとされるマンションでも、人が存在しない田舎よりは安全とい

えるのではないでしょうか。ちなみに私が住んでいた村には辛うじて診療所が近くにありましたが、総合病院となると車で1時間以上です。急ぎの手術が必要になった場合は距離がネックになります。

郵便局に加入する

ほとんどの田舎には銀行は無いでしょう。あったとしても信用金庫など小さな地元に根づいた金融機関だけです。
そんな中でも郵便局は田舎の生活を支えてくれる存在です。村に詳しく、大抵は親切で頼りになるのですが、付き合いも必要でお金を預けたり、勧められた保険に加入したり、お歳暮やギフトを購入したり、年賀状を買ったり、そういった上納金も時に必要になります。但しお金を気持ち良い出して、仲良くしておくと有利になるケースも多く、村内でのトラブルや人間関係にも強いです。

町内会のローカルルール

ゴミの出し方から清掃活動、町内会、お祭り、冠婚葬祭など町内会のローカルルールは多岐に渡ります。中でも酷いのが若い男は消防団に加入を強制させられます。そうなると最悪、ジジイの中で毎週のように訓練と称した出動を強要されて、頻繁に開催される飲み会ではくだらない時間を使うことになります。
村によってはゴミ出しが厳しく、ゴミ捨て場の清掃活動など交代制でやらなければなりません。参加を拒否するとゴミを出せなくなったり、ペナルティとして1回1万円を集金する村もあります。私の隣村では、病気のお婆さんがお金を出せないので、熱を出しながら行事に参加していたと小耳に挟んだことがあります。

うわさ話が酷い

田舎に住んでいると何もかもが筒抜けで、家の駐車場で在宅か不在か分かりますし、車種によって誰が来ているかさえバレてしまうのです。仮に不倫でもすれば瞬く間に町内で噂話の餌食になります。それどころか仕事先や家族関係、交友関係、支持政党、利用している店などありとあらゆる個人情報が他者に伝わります。
ひどい地域だと捨てたゴミを回収して中から明細書などを見るオバサンもいるそうです。怖いのでシュレッダーをかけたり、コーヒー殻で汚してからゴミ捨てしていましたが、多くの田舎にプライバシーは存在しません。
つけびの村、山口連続放火殺人事件がしばらく前にありましたが、村民がグルになって村八分したり嫌がらせをして殺人事件になってしまうことさえあるのです。結託されたら迷宮入りです。

長く住んでいる人が偉い

田舎に住んで衝撃的だったのが、車で10分の少し離れた村から引っ越して来た人に村民が嫌がらせしていたことです。
静岡市にも区ごとに市民意識が別れていたり、安倍川を隔てて、”川向う”と差別したりはありますが、ここまで人口の少ない村同士が差別をしているとは思いもしませんでした。
話を聞くと移住してきたルーツが異なり、片方の村は違う県の人が元となって集落を形成していたようです。そんな江戸時代じゃあないんだからと思いながら聞いていましたが、例え隣町で何十年住んでいても、差別されたりするようです。

移動時間が長い

今は都内で車移動をしているのですが、新宿から渋谷まで空いていれば10分程度。池袋に買い物に行っても30分はかかりません。一方で田舎暮らしだった頃は最寄りの大型スーパーまで車で1時間以上、小さな八百屋でさえ15分はかかります。信号がないので運転は極めてストレスフリーですが、物理的な移動時間と距離が長く、些細な買い物で毎日50キロ以上の距離を運転していることもあります。これも慣れですが、都会から引っ越した人は運転が得意でないと移動で疲れてしまうかもしれません。

田舎暮らしのメリットとデメリットまとめ

何をもって田舎というかにも寄りますが、私がしばらく住んでいた限界集落のような田舎は都会生まれの人には極めて難しいといえます。中には親切で移住に対して優しい人もいますが、頑固で余所者を嫌う風潮があるのも確かです。
そして刺激の弱い単調な生活、様々な不便さ、それを天秤にかけてでも自然の恵みを得たいのであれば田舎移住はおすすめできます。ただし森に入って小鳥に説教をするアッシジのフランチェスコのような、清らかな精神が必要ということはいうまでもありません。または晴耕雨読のように晴れの日は畑を耕して日が暮れたら寝る、雨の日は読書をするといったシンプルで本質的にロハスLOHAS(=Lifestyles of Health and Sustainability )な生活をするのであれば田舎暮らしは最適でしょう。

「老後は都会のマンションから田舎に引っ越そう!」だとか、「いつかは自然の美しい場所に住みたい」と思っているのであれば、短期的に田舎に家を借りて都会の拠点を維持しながら、数ヶ月だけ住んで見るというのがおすすめです。
全国どこの田舎も空き家がダブついているので、役所や村役場に足を運び、誰か空き家を貸したい人はいませんか?と聞いて回れば1~2万円という破格で家を貸してくれることもあります。月に5千円程度で一軒家を貸したい人さえいるのです。
そこで自分の想像とのギャップを埋めてからの移住でも遅いということはありません。

ただ私が実感したのは都会に家を持ちつつも、週末だけあるいは長期休暇だけ来れるような田舎の別荘があれば、それほど自由で便利な暮らしはないと思います。18世紀以降のイングランドの貴族も普段は、カントリーハウスやマナーハウスなど田舎にある大きな邸宅で過ごし、社交界のシーズンになると都会のロンドンにあるタウンハウス(集合住宅)に移り、やることを済ませてから田舎に戻ったといいます。軽井沢町や、那須高原、清里高原など別荘地がある村には都会と半々で生活する人も多いようです。

そんな訳で、田舎暮らしの良し悪しについて書き留めてみました。参考にしてみて下さい。


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