マセラティ クーペの魅力と良いところ – 2000年代マセラティの買い方①

こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

最近、私が大変なマセラティびいきであるということを知って、今までそんな話をしてもいなかったお客様が、急に「実はマセラティに興味があって…」なんて相談してくださったりします。

世の中には星の数ほどの車が存在しており、どの車が一番かという問いへの答えは人の数だけ存在するのですが、私はなぜだかマセラティが好きなのです。

最初にマセラティ スパイダー カンビオコルサを購入したのが19歳のとき、それから現在に至るまで4台のマセラティを所有してきました。それも全てフェラーリが関わっていた頃の、2000年代マセラティです。

そこで、すでにビンテージカーになりつつある2000年代マセラティに興味があり、今から挑戦してみたいという人のためにそれぞれの特徴や、注意点などを知っている範囲でご紹介したいと思います。

今回はマセラティ クーペ カンビオコルサ。

マセラティ 3200GTのエクステリアを踏襲しながら、洗練されたデザインとフェラーリ製の4200cc NAエンジンを搭載して生まれたこのモデル。

私が現在5代目クアトロポルテと共に所有しているのも、このクーペ カンビオコルサです。そして個人的に最も好きな車とも言えるでしょう。

良さは何よりもエンジンフィーリング

この車のずば抜けて良いところはまず、このやんちゃな楽しさでしょう。フェラーリ譲りの4200CC NA ドライサンプ式エンジンは驚くほどのレスポンスで、吹け上がりの良さはレースカーのようです。

新車価格1200万円程度と、現在で言えばラグジュアリースポーツカーと言ってもよいような位置付けの車ですが、このレスポンスはスーパーカーに近いものを感じます。

エンジンは390馬力と今見ればそれほど高出力には思えませんが、まだ車が性能勝負ではなかったころの、何しろ破茶滅茶でダイレクトなエンジンフィーリングには、誰もが魅了されるはずです。山道のワインディングでもそれなりに回せる絶妙な馬力でもあります。これ以上ハイパワーで高回転型のエンジンだと、公道では楽しみにくいはずです。

また、この4200cc エンジンはリファインされてクアトロポルテやグラントゥーリズモにも搭載されていますが、クーペ カンビオコルサのフィーリングは中でも軽快。このモデルならではの楽しさは、小柄なボディとの相性もあるかもしれません。

全長約4,400mmとコンパクトでホイールベースも短く、車重は1,680kgと豪華な内装を思えば決して重くないでしょう。これに高回転まで気持ちよく回るエンジンの組み合わせが、わんぱくな加速感と飛び回るようなフィーリングを生み出しているのです。

クアトロポルテやグラントゥーリズモは車重がかなり重くなり、全体的にサイズが大きいため、より重厚感のあるフィーリングです。

エンジンが完全に暖まると、驚くべき滑らかさに

ちなみにこのクーペは特に、本領発揮までに相当な時間がかかるのを感じます。

場合にもよりますが走り出してから数十分間は金属的なノイズが多く、エンジンのサウンドや回り方もがさつな感じがあります。後述するミッションもギクシャクして、繋がりもショックが大きいのです。

しかし30分くらいが経過して、エンジンが暖まり油が巡ると、車がまるで別物になったかのように滑らかになります。ノイズや雑さがなくなり、フォルティッシィのホルンのような心地良くも力強いサウンドになるのです。ブリッピング音すら変わります。官能的とさえ言えるフィーリングです。

完全に暖まったマセラティ クーペを運転するのは、富士山の頂上で夕日が沈むのを見ながら絶世の美女とベッラヴィスタのプレステージ・キュヴェで乾杯するようなものだ。

マセラティ クーペは良くも悪くも、古いイタリア車らしさを持った車です。ある時は一向に調子よくならずガサツなフィーリングで、ある時はとろけるような滑らかさでドライバーまで一体化させる。

そして一度その最上のフィーリングを知ると、まるで生き物のようで、より愛おしくなってしまうというわけです。

ちなみにだいたい静岡市内の自宅から山道経由で朝霧高原の家へ向かうと、富士宮市に入るあたりでエンジンフィーリングが変わったのを感じます。

また毎日乗っているときは、上記のようなスムーズな状態になるまでの時間が短縮されるようです。

エレガントなスポーツクーペという稀有な存在

このマセラティ クーペは実に美しい車です。

クラシックカーのようなエレガントさと、切れ目のないピラーやなめらかなクーペスタイルは、いつの時代の車とも取れる絶妙なデザインです。

もちろんかっこいい車はたくさん存在します。しかしその中でもこのマセラティ クーペが特にお気に入りなのは、クラシックなお洒落さのある車だからです。

現代の車は非常にアグレッシブなデザインのものが多いです。これはあるいは細身のジャケットや先の長い革靴のようなもので、非常にわかりやすいですがエレガントさではクラシックなものにはかないません。

エレガントさには主張しすぎないこと、またその人のライフスタイルに馴染むことが必要です。

その点で、このマセラティ クーペは非常にエレガントだと感じています。一般的な乗用車の範疇におさまるサイズ感ながらやや低めの全高、滑らかなボディラインと控えめなクーペスタイル。古い車にも新しい車にも見える、クラシックなデザイン。そして普段の生活に馴染むある意味控えめな存在感。

他にこのようなものを探してみると、ぴったりな車というのは意外に見つからないものです。

そこにこのエンジンフィーリングと、ポルトローナフラウのレザーをふんだんに使用した内装です。様々なデメリットの分を差し引いても、やはり魅力的な車です。

マセラティ クーペは決して早くも、派手でもない車です。ですがそのフィーリング、そしてクーペとしてのバランス感を考えると「他にない車」なのです。

多くのベタベタと、すり減っていくクラッチと戦いながらもこの車に乗りつづけている人は、きっとその部分に惚れ込んでいるのではないでしょうか。

次回は、マセラティ クーペの「大変な部分」について書いていきましょう。

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