みなさん、服を買うのに普段どんなショッピングサイトを利用していますか。ゾゾタウン? ユナイテッドアローズなどのセレクトショップのサイト? ネットで服など買わない、試着できないから、とか誂えた服しか買わない、という人も中にはいらっしゃるかと思いますが、今の時代、クリック一つで変えるネットショッピングはやはり便利です。お店では商品の選択肢も少ないし、ひとつの店だけでなく複数の店をチェックできるネットショッピングを賢く使えばお金の節約にもなります。

しかし今ある日本のオンラインショップだけでは『リナシメント』の読者は決して満足していないのでは。読者の関心がきっとあると思われるクラシックなイタリアのスーツなどは日本でも数多くの店が取り扱っていますが、海外のショッピングサイトに目を向けてみると、日本ではあまり見かけないものなど、より幅広い選択肢があることに気付きます。今回はそうしたサイトのうちから、スーツなどのクラシックな「紳士服」に強いものをいくつかご紹介します。

1. The Rake

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このイギリスのサイトはカチカチの「紳士服」だけでなく、カジュアル寄りの品も多く扱っていますので、バランスがよいと言えます。実際、現代でスーツしか着ない人はいないでしょうし、しかしかといってストリートファッションって趣味でもない、パリコレに出るようなブランドが好きなわけでもない。確かな工場の技術に裏付けられた上質さを持った、時代によって左右される度合いの少ない長く着られる服を着たい。しかし単に技術が優れていてデザインが悪いのはいやだ、そういった時はThe Rakeを訪れるとよいでしょう。

サイトを訪れて、BRANDSというカテゴリーを押せば、自分の好みと合っているかどうかが分かるはず。サヴィルロウのビスポークテイラーであるAnderson & Sheppardの既製服や、パリで他の追随を許さないファッショナブルなビスポークスーツを作っているCiffoneliの既製服を扱っており、それぞれそのブランドで誂えて見たいと思うステップにもなるでしょうし、また体形が合えばきっと既製服でも満足できるような質の高い商品です。

実はこのThe Rake、元は同名の雑誌から派生したショッピングサイトです。ですので、ただ商品を並べているだけでなく、商品やブランド、はたまた生活様式についての読み物も充実しています。もし英語をもっと向上させたいと思っている読者なら、こういったサイトの読み物を通じて勉強することもおすすめです。

同じイギリスのメンズファッションのオンラインショップとして、Mr Porterと比べてみると、Mr Porterの方がモード寄りで、パリコレなどに出てくるブランドを多くそろえています。そうした流行に流されない価値を持つ洋服を求めるなら、The Rakeの方がおすすめです。

季節ごとにセールもやっていますが、普段でもVALUESとして実質的なセールを行っていますので、こまめにチェックすると掘り出し物が見つかるでしょう。

2. No Man Walks Alone

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このアメリカのショップは上のThe Rakeよりさらにカジュアル寄りですが、流行を追ったカジュアルさではなく、現代人にとっての普遍的なワードローブを構築する手助けをしてくれます。アメカジというくくりもできる店ですが、クラシックで魅力的なスーツも置いてあります。

スクリーンショット、https://nomanwalksalone.com/clothing/suits/navy-nailhead-suit-in-holland-sherry-wool-12-oz.html

例えば、上はNo Man Walks AloneがSartoria Carraraというイタリアはトスカーナ州カッラーラ市のサルトリアに作ってもらったスーツ。Sartoria Carraraとはなんぞや、と思いますが、サイトにはちゃんと説明があり、その特徴は柔らかい仕立て方(キャンバスが程よく柔らかい)、少し広めの肩幅と余裕のある上腕、大きめのラペルということです。細いスーツばかりを見慣れている人にとっては新鮮で、肩を人体の実際の寸法より長くとっているところなぞは、何もかも体に合わせればいいってものではないということに気付かせてくれます。

このサイトのいいところは、フルキャンバスであるとかホランド&シェリーの生地を使っているといった、細かい部分を明記しているところ。スーツのつくりにこだわりがある人でも安心して買うことができます。

しかも、サイズについても親切なガイドがあります。Check Fitというところから、自分の持っているものと買いたいものとサイズが比較できます。

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例えば私の持っているこの緑色のツイードのCastangiaのジャケットと比べたいとしましょう。背景の散らかり具合が残念ですが。物干しに載せているというのも悲哀感があります。

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48Rが最適だという表示が出ました。ありがとうございます。このCastangiaのジャケットの表記も48なのです。もっとも、実際に買うとなったら袖丈を重視するかなど、複数の視点から見て行くことがおすすめですが。

3. Pauw

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これはオランダの、実店舗もあるセレクトショップのサイトです。筆者がオランダに住んでいるということもあり、ご紹介してみます。Pauwというのはオランダ語でクジャクの意味で、着飾るということへの肯定的なメッセージを感じる店名です。

スーツはStile Latin、Orazio Luciano、Cesare Attolini、Kiton、Carusoなどと錚々たるイタリアのブランドが揃っています。この辺が好きな方は訪れてみて損はないでしょう。靴はSaint Crispin’sを扱っているのが、渋いです。しかしドレスシューズは他にBontoni くらいと、それほど充実しているわけではありません。

個人的に気になるのはシャツのブランド、100 Handsの取り扱いがあることです。100 Handsはアムステルダムに本社がるシャツ専業メーカーで、インドで製造しています。インドといって侮ることなかれ。100の手によって、1.5日をかけて手作業で作られるシャツは近年業界の注目を浴びています。英語のファッションブログとして第一の知名度を誇るPermanet Styleでも「100 Handsはもしかしたら世界でもっともすばらしいシャツを作っているかもしれない」(“100 Hands shirts: Made in Amritsar, India”)とその魅力が語られています。

4. Yeossal

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Yeossalはシンガポールにある紳士服のショップです。はっきりいってこれほどお手頃価格でセンスのある大人のための服を用意してくれる店は他にないと思います。ショップのオリジナル(技術のあるテイラーや靴職人と提携した)が多いのは、現代のブランドに溢れた世界から一線を画しています。もちろん、1990年生まれである筆者にとってひと昔前の服飾業界の様子は想像と文献でしか見ることができないものですが、この店には町のテイラーといった趣があると思います。

日本に住む人にとって何がいいかと言って、アジアで作られている洋服ということで価格が抑えられていることももちろんですが、気候が日本よりさらに高温多湿なシンガポールの店だけあって、日本の夏の気候に合う商品がたくさんあります。

たとえばサファリジャケット。高温多湿の日本の夏をエレガントに過ごすためにはサファリジャケットほどよいアイテムを私は知りません。

ここではmade to orderで袖丈や肩幅など自分だけのサファリジャケットを仕立てることが出来ます。生地や色もネットで簡単に選択できますし、メールで問い合わせれば、柔軟に希望に対応してくれます。

オリジナルの靴も充実しています。オリジナルといって軽んずるべからず。ここの靴は最近のアジアの靴の高い水準を知らしめてくれます。昨年私もここで一足made to orderで頼みましたが、そのレビューを近いうちにしたいと思っています。

5. Sartoriale

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Sartorialeは知っている方も多いかもしれません。イタリアのクラシックなブランドのおそらく売れ残りの在庫などを仕入れて手ごろな価格で市場に提供しているサイトです。

ここの特徴はとにかく安い。Yooxと同じような安さです。昔、売れ残りのブランド商品を焼却している場面が印象的なとある東欧の映画を観たことがあります。大学生の頃に授業で観て、名前を今思い出せないのが残念ですが。ファッションの世界のはかなさを感じました。

そういうはかなさに対し、よいものはよいのだとして、型落ちの商品を安く提供してくれるのがこのサイトです。Kiton やBelvest、Cesare Attoliniなどの商品が揃い、さらに聞きなれないローマのD’Avenzaなどの商品も並んでいます。

とりあえず、セレクトショップというくくりで以上のサイトを選んでみました。以上のサイトは頻繁にセールもあり、多くのサイトでは今夏のセールの真っただ中です(2020/7/15日現在)。また、海外のサイトですが、多少の送料がかかるとはいえ、全世界に配送しています。初歩的な英語の知識があれば海外のオンラインショップで買うのはまったく難しいことではありません。

今後、それぞれのサイトを利用して買ってみた服などのレビューをそのうちお届けしてみたいと思います。

 

 

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オランダ在住。オランダの文化や自然、その他ファッションについてなど諸々発信していきます。