余り知られていない水のニオイと台湾茶、紅茶の保管方法についてまとめてみます。
ニオイや味の感じ方というのは人それぞれですが、それを感じさせる閾値というのもまた異なります。例えばレストランに行って水の味やニオイがおかしいと思ったことはありませんか?
考えられる主な原因としては水道水のカルキ(塩素)のニオイです。それだけでなく古いビルの場合は引き込んだ水道管が錆びていて金属臭が付着する場合もあります。

レストランで出る水が臭い?不味い原因とは

では有料のミネラルウォーターを出す高級レストランでは水のトラブルが無いかと言うとそうではありません。意外にも多いのがグラスのニオイです。衛生的に洗浄してあるグラスでも、塩素で消毒したクロスやタオルの上に置いておくと塩素臭がグラスの中に移ることがあります。特にワイングラスなど丸いボウル部分がある器ではミネラルウォーターを飲んでいるのに塩素臭いこともあるのです。

数年前までは水から異臭がするのは、水由来と容器由来の2パターンしかないと思っていました。しかし近年外食に頻繁に行くようになって衝撃的な事実に気づきました。

水に香りが移る現象

これは何故か世の中で注目されることが無いのですが、神経質な人であれば知っておくと良いはずです。高級なフランスレストランに行ったのですが、飲んでいたミネラルウォーターから突然異臭がして驚きました。
驚いて同席していた相手にコップを嗅いでもらいます。そして相手のコップを確認させてもらうと無臭のままなのです…。口臭とは違うなにか変なニオイで、サービスの人にグラスを替えてもらったのですが、その直後にメインディッシュの料理が運ばれてきました。「こちらは骨付き仔羊の瞬間燻製でございます。」

なるほど!と私も同席した相手もピンと来ました。つまり瞬間燻製を行ったときに厨房から10メートル近く離れていてもグラスの中に煙が入ったということです。現にタイミングがばっちりで、その後は異臭がすることはありませんでした。
その後ワインを飲もうとしたら、同じようにワイングラスにも香りが移っていました。勿論同じように交換してもらいましたが、サービスの人は「????」という状態。理解しにくいことなので説明はしませんでした。

色々なレストランに行っていると稀にこのように水にニオイが移ることがあります。特に厨房と客席が近い小さな個人店は顕著で、10回以上通っている店でオープンキッチンから近い席に通された時だけ水に異臭が移ったこともありました。
料理の油や煙の比重は空気よりも重く、油が焦げて起こるタールなどの化合物が含まれています。気体成分と微粒子成分がありますが、中でも比重の重いものはグラスに入りやすいのです。

これを理解してからはキッチンに近い席に通された時はグラスにハンカチなどを置いてワインや水を飲んでいるのですが、ニオイが移ることが全くなくなりました。信じがたい事ですがワインや水に起こる異臭の原因の一つなのです。
つい昨日も新宿の喫茶店で二人分の水が臭くなったトラブルが有ったのですが、何のことはない珈琲を焙煎している途中で、相手方がタバコを吸っていたのでそれがグラスに入ったというわけです。

台湾茶や紅茶の保管について

ワインのブショネ(劣化コルク臭)というのも難しく、誰でも気がつく本当に酷いものもあれば、ソムリエでさえも見落とす極僅かなブショネも存在します。サランラップは1枚では透明ですが、100枚重ねたらどうでしょうか?濁って先が見えませんね。実は1枚目から、その100分の1の濁りが現に起こっているのです。
台湾茶や紅茶の保管方法を無理につなげた理由はそこにあります。生産者が施した真空パックを開封した時点から劣化への一歩を踏み出しているのです。プーアール茶(生茶・熟茶)のように保管環境が良ければ美味しくなるお茶も例外的に存在しますが、台湾茶や緑茶や紅茶の多くは湿度と温度が高いとあっと言う間に劣化してゆきます。
マニアではいわゆる酸化と言われていますが高温多湿の環境で保管したり、完全密封できていない缶に入っていると酸化=劣化するのです。極端な例で言えば、茶葉に霧吹きでスプレーをして棚に置いておけば数日もしない内に味が落ちます。
一般的に茶葉の水分量が3~5%、紅茶は5~7%と言われていますが、これを超えた水分量になると酸化や劣化の原因となります。またニオイも移りやすいのでキッチンのスパイス類と一緒に保管するとビニール袋に入っていてもニオイが移ることがあるのです。

つまり理想で言えば使うたびに真空パック+エイジレス(場合によりシリカゲル)などで水分、酸素の量をコントロールする。それが面倒であれば、シリカゲル+ジップロックなどで密封することで酸化のリスクを抑えることができます。
茶葉が劣化しているかどうか判断するのは、先程のサランラップの例と同じで個人差があるのですが、葉っぱを鼻に近づけてニオイを一気に吸い込むと分かりやすいです。例えば品質の良いダージリンであれば、ほのかに甘い香りやナッツのようなニオイがしてきますが、酸化していると皮脂のようないやなニオイがします。残念ながら劣化した茶葉を戻すことは不可能です。個人的な経験で言えばアッサムよりもダージリンの方が劣化しやすい傾向にあります。茶葉の製造段階の酸化や発酵、酵素によって劣化が異なるかもしれません。(はっしー)

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。