車選びというのは、いつでも悩ましいものです。よほどのお金持ちか潔癖症で無い限り、新車か中古車かで常に悩むことになるからです。新車のメリットは自分好みの仕様を選べて未使用ピカピカ、保証も手厚く特別感が得られます。中古車のメリットは新車から1~2年落ち、東京大阪を10回往復した程度のものが定価の3割引から半額近くで買えることです。

私が乗っている2012年式のBMW 640iは新車価格が1,050万円ですが、登録料や税金などの諸経費込みで乗り出しが約1,100万円です。そこから年々中古車価格が落ちていきます。一例をカーセンサーやGoo-netの販売価格から抜粋してみます。

購入時期 ディーラー保証期間  中古車価格(目安) 走行距離(目安)
2012年(新車) 3年(最長7年)保証 1,050万円(新車) 未使用
2013年 2~3年保証 800~900万円 0.5~1万キロ
2014年 2年保証 700~800万円 1~2万キロ
2015年 1年保証(最長2年) 600~700万円 2~3万キロ
2020年 なし 200~300万円 5~8万キロ
2025年 なし 100~200万円(?) 5~10万キロ(?)

新車から2年で7割、3年で半額近く価格が落ちていることが分かります。2025年は過去の6シリーズの中古車価格からの想定です。

なぜ新車が数年で売られるのか?

新車の初回車検は3年間になっています。車検前に手放してしまおう、または別の新車に乗りかけよう、という人が一定数いるために価格の下落があります。BMWでは「BMWフューチャーバリューローン」という据置額(残価設定型)のローンがありますが、これは新車を買うときに3~5年後の据置額をBMWが指定して、車体価格から据置額を引いて月々のローンを支払う方法です。
例えば新車1,000万円の車両であれば、2年後の残価が600万円、差額の400万円を二年で均等割して払うようなイメージです。頭金を200万円入れれば、月々8万円程度で1,000万円の新車に乗ることができます。
ただし、ローンの最終回の時点で「新しいBMWへの乗り換え」、「残金の再ローン」、「残金一括払い」、「車両返却」のいずれかを選ばなければいけません。現金に余裕がなければ車両返却をすることになります。もしくは元々新車を乗り継ぐ予定の人は新しいBMWに乗り換えたりするわけです。これによって次々と高年式の中古車が市場に放出されます。

中古車でも価格が落ちにくいブランドや車種が存在します。ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーや、真逆の実用的なトヨタのハイエースなど、中古車でも価格が落ちにくいですが、前者は流通量が少なく手放す人も限られていて、後者は流通量は多いけれど需要も多く、手放す人が少ないので価格が落ちにくいのです。
BMWやメルセデス・ベンツなどドイツの高級車は、新車価格に対しての需要が追いついていないにも関わらず、次々と在庫が市場に供給されるので値下がり率が激しいといえます。

コンディションの良い車種が減る

私は数年前にBMW6シリーズではなく、M3が欲しくて探していました。しかし高年式で低走行車は人気が高くて価格が落ちにくいのです。BMWの中でもMシリーズという本格的なスポーツ仕様は人気が高く、5年経っても新車の7~8割の価格を維持していたりします。そうなると新車で買っておけばよかった!と思います。
待てど暮らせど状態の良いM3が手頃な価格で出てこなかったので、諦めて不人気で手頃な6シリーズを購入したのです。

欲しいBMW中古車を買うタイミングというのは難しいもので、新車で買うと翌年に「こんなに下がってる……」とショックを受けることもありますし、5年経つと安けれど内装がくたびれて整備しなければならない箇所も増えていきます。いかに憧れの車でも、製造から10年以上経過した過走行車では本来の性能を発揮できません。
レストアされるようなヴィンテージカーではあれば別ですが、近年のBMWのような量産車の場合は新しい方が設計当初の性能を維持しています。車は屋外駐車場に保管されることもあり、外装やインテリアの経年劣化も目立ちます。ボディは再塗装や再コーティングで新車のようにキレイにすることはできても、室内のシートやダッシュボード、ハンドルなどを再生したり新品にするのはコストが掛かって難しいことです。私自身、過去にBMW335iを3万キロで購入して17万キロまで乗りましたが、過走行でエンジンが滑らかになる一方でボディの剛性が下がったことを実感しました。サスペンションを交換しても当時の固い乗り心地は復活しないのです。
そして市場の状態の良い低走行車も減っていきます。E92型M3の場合、中古車検索サイトで走行距離を3万キロ以下にすると3台しか出てきません。タイミングによって低走行、ボディ色やハンドルの位置、MT/DCTなど全て満たした仕様が出ることもありますが、時間と共に減っていきます。

維持費は上がる一方

先ほど例に挙げた6シリーズの先代も新車価格が1,000万円が15年経つと50万円以下で買うことができます。新車の1/20ということで、お買い得!と思う人もいるかもしれませんが、古い過走行の高級車を買うというのは、病気がちの老犬を引き取るようなものです。
奇跡的に運が良いと、故障もせずにまだまだ乗れる車に当たることもありますが、多くは故障したり不具合が目立ちだして下取りに出したり、ドナドナされる訳です。格安の現状販売なので販売店も整備を最小限で売りに出します。
その結果、50万円で買ったは良いものの内装がボロボロで気になったり、足回りからコトコトカラカラ、アイドリング不安定など、走行はできるけれど快適とは呼べない車生活になったりします。

そして整備代や修理代は新車価格の計算で請求されます。リビルド品や社外のOEMパーツなど安く修理できる自動車工場もありますが、それでもミッションの故障に60万円、ドア開閉の不調で20万円、ヘッドライト交換で50万円、サスペンションの交換で30万円、内装の交換に数十万円など、まともに修理すると低走行車が買えるほどの金額が掛かってしまいます。
これでは初めから300万円ほどの状態の良い車を買えばよかった!となってしまいます。クタクタの過走行車に多額のお金を掛けるなら、元々状態の良い車を買うに越したことはありません。

初年度登録から2~5年の認定中古車がお勧め

これまで何台もBMWを乗り継いできましたが、特殊な車種で無いかぎり初年度登録から2~5年ほどのBMW認定中古車がお勧めです。BMWディーラーで販売されている中古車で「BMW Premium Selection」と「BMW Approved Car」という2種類の認定中古車があります。どちらでも良いのですが、BMW Premium Selectionは初度登録から5年未満(走行6万km未満)2年間走行距離無制限保証が付帯します。BMW Approved Carは初度登録から8年未満(走行10万km未満)保証は1年間(走行2万km以内)です。中古車を買うと保証書が付属して期間と走行距離などが印刷されています。
BMW Approved Carは、走行距離や年数が不利なのですが裏ワザがあり、追加の保証料を払うと2年間の走行距離無制限に変更できることもあります。

つまり5年落ちの手頃な価格のBMWを買っても、2年間の走行距離無制限の保証をつけることで、どれだけ走って故障しようと部品も含めて保険で無償修理してくれるのです。オイル交換やタイヤなど消耗品については自身で負担する必要がありますが、エンジンやミッション故障など修理代が高額になりやすい部分は対象なので安心感がありますし、余計な出費が発生しません。私自身、ドアのモーター(アクチュエーター)故障で20万円近い修理を無償で直してもらったり、色々と使う機会がありました。

BMWディーラーの営業マンの話では、BMWだからといって闇雲に買い取りをする訳ではないとのことです。ディーラーの運営会社によって異なりますが、自社で新車販売した車を中心にして、素性の分からないBMWは買い取り価格を安く出したり、もし買い取ってもそのまま業販のオークションに出品することもあるそうです。

写真は6シリーズの納車直後ですが、内装も外装も非常にキレイ!
3万キロで購入して今は6万キロですが、汚れ傷も増えてくたびれてきました……。

欲しいBMW中古車を買うタイミングは?

中古車は毎年安くなっていきますが、内装と外装がキレイで機関部も良好な高年式車がお勧めです。
「欲しいときが買うとき」という言葉もありますが、価格に惑わされずに、買ってから安心して快適に長く乗れる車選びをすると後悔なく愛用できると思います。参考にしてみてください。

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。


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