評価が極端に分かれるイギリスアンティーク

とある日本にあるドイツアンティークの店主からこんな話を聞きました。ある女性客が高級ドイツ車で店に乗り付けササッと数分間だけ在庫を見て「マイセンとか無いのね…」と言って退店していったそうです。

そのドイツアンティークの店には信じられないほど豊富な在庫があり、中にはマイセンよりも遥かに美しい食器やグラス、100年以上も前のHUTSCHENREUTHER(フッチェンロイター)など美術品、工芸品が並んでいたのです。
しかし、来店した女性客は百貨店で馴染みのあるマイセンしか知っていなかったので、「この店は良い物が置いていない」と判断したのです。

ここがアンティークの難しさの一つです。近年の陶磁器にはバックスタンプが押されて製造年月まで分かるものが多くなりました。昔と違いシリーズも少なく、ひと目で「このブランド」と分かるようになってきたのです。
しかしイギリスのアンティークの多くがバックスタンプが存在せず、特徴のあるシリーズも存在しないのです。

ラベルの無いワインのようなもの

私達はロンドンのリッソン・グローブにあるalfies Antique Marketに向かいました。丁度ビートルズで有名なアビーロードがある近くです。
そこには写真のように美しいガラスや陶器、銀器がびっしりと陳列されています。値段も付いていないものばかりです。

ここから欲しいモノを探すのは結構な難易度なのです。資金が潤沢にあれば、好きなデザインをポンポンと買えばそれで良いのですが、多くの人にとって「これは適正な価格なのか?」「これは価値があるのか?」という事が気になるはずです。
もちろんアンティークの価値なんてのは人によって異なり、不確かなものです。

経験を積んで行かないと、先程のドイツアンティークの女性客のように「私の知っているものがない!買うものが無い!」となってしまうのです。
つまり良い商品かどうか、自分の経験と直感で判断しなければならないのです。

見たことが無いものは聞いてみよう

私達は比較的アンティークを見慣れているので、なんとなく年代や製造国など検討がつきますが、それでも分からない物や見たことない物ばかりです。
初めて出会ったものについては店主に色々と聞いてみるのが一番です。「いつの時代ですか?」「どこのメーカーですか?」「どうやって使いますか?」このように尋ねて丁寧に教えてくれる店は良い店です。
「これは私が30年前○○に旅行に行ったときに買ったのよ、ほほほ」なんて返事をされることもあります。

見たことがないは面白いものに出会うチャンスです。例えば上記のデキャンター、これだけでなく30個以上もアンティークのクリスタルデキャンタが並んでいるのです!日本ではまずお目にかかれず、ヤフーオークションでさえ数件しか出品されていません。それなのに数多くのものを手に取り吟味できるというのは素晴らしい機会です。

価格もこなれていて6千円から1万円ほど。どうやって使うの?と聞くと、「ウイスキーを入れるといいよ!」など店主のお勧めの使い方を教えてくれます。アンティークには本当に正しいという使い方は存在せず、自分で好きに使って良いのです。ワインや梅酒を入れても、バルサミコを入れても、花を活けても良いのです。

コッツウォルズなどの田舎に行くと混沌を極める

先程のアンティークマーケットは良い物が安くという分かりやすいお店が多くて楽しいのですが、田舎のアンティーク店を巡ると更に難しく混沌としています。本当に「ガラクタ市」で10ポンド以下の商品ばかり、という店もあれば正反対で高級アンティーク店で1000ポンド以上のものしかない、という店まで混在しているのです。

高級店の見分け方は簡単です。フランスなど英国以外のアンティークを並べているのです。サンルイやバカラ、ガレなど、フランス系のアンティークを取り扱っています。
私が何件か見た限りでは銀座のアンティーク店とさほど大差がありません。「一応置いとくか」という程度で取り扱っています。例外としてポートベローマーケットなど一部の店舗では専門性の高い店があります。

おすすめの買い物としては、田舎のマーケットではレース、刺繍や古いイギリス陶器、それもおばあちゃんちから持ってきたようなものがお勧めです。1万円あれば数点買えて、しかも可愛い、なんてことがあるので田舎の買い物はそこが楽しさの一つです。

つぎの記事ではポートベローマーケットの攻略について書いてみます。

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。