コロナの蔓延は一向に終息を見せないまま、昨年のロックダウンから1年を迎えたイタリアです。 忘れもしない昨年3月4日、翌日から学校が休校になることが通達され、3月9日からは全土がレッドゾーンとなることがコンテ首相…
PENSIER
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訳者まえがき 歌曲の困難は、詩と音楽の調和に存する。歌詞を伝えようとするあまり音楽が疎かになってはいけないが、かといって音楽性を過度に重視すれば、歌詞は無意味な添え物にすぎなくなる。歌詞と音楽が、均衡を保ちつつ…
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リナシメント読者のみなさま、はじめまして。 今月から連載させていただきますcucciolaと申します。イタリアの歴史や美術に魅かれてこの国にやってきたのが20年ほど前、今はローマ近郊の山の街に暮らしています。 …
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懐古趣味が高じて買ってしまった、年代物のフロックコートがある。購入先の店主によれば、1930年代に英国で仕立てられたものらしい。フロックコート自体は19世紀の衣服であるが、なるほど確かにこの一着は、典型的な30…
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訳者まえがき とある高名な仏文学者に聞いた話では、ヴェルレーヌを専門とする研究者は意外に少ないらしい。マラルメやランボーと並び称されるこの大詩人に専門家が付かない理由は、氏いわく後期の作品群にある。ある作家を専…
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訳者まえがき 俗悪なブルジョワジーに物申すにあたり、ヴィリエ・ド・リラダンが皮肉という形式を選んだのは、実に賢明なことである。彼らは皮肉を解さない。皮肉によって語るのであれば、関わりたくもない彼らからの余計な仕…
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訳者まえがき ヴィリエ・ド・リラダンは、革命が生んだ最後の悲劇である。彼はフランス有数の名家の血を引きながらも、没落貴族の末裔として、貧民同然の暮らしを強いられた。「現代において真に高貴な唯一の栄光たる大作家の…
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訳者まえがき デ・ゼッサントおよびシャルリュスのモデルであり、ポール・エルーやエミール・ガレのパトロン、そしてブランメルの系譜に連なる最後のダンディでもある、ロベール・ド・モンテスキュー伯爵――19世紀末フラン…
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もうひと月以上前のことですが、ハーグのメスダハ・コレクション(De Mesdag Collectie)に行ってきました。メスダハ・コレクションは夫婦そろって画家であり美術コレクターであったヘンドリク・ウィレム・…
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訳者まえがき 「今どきレニエを読むとは珍しい」――古書店の老店主にそう言われたことがある。つくづくお世辞のうまい店主である。この詩人を愛する者にとって、過去への愛に勝る美徳はないのだから。 アンリ・ド・レニエの…
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訳者まえがき 歴史に名を残すことなく、忘れ去られた詩人たちがいる。凡庸とみなされ、群小詩人と一括され、学界からも出版界からも等閑視されてきた彼らの作品は、はたして大作家たちのそれと比べて本当に劣っているのだろう…
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はじめに 一枚の絵画が私をとまどわせる。 画布のこちら側にはみ出しているかのような果物籠に誘われ、私の目は画中の世界に迷い込む。すると私は、食卓の向こうに、神秘的な光を浴びて輝くイエス・キリストそのひとを見出す…
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編集長が手紙とSNSの違いについて書いた記事は、実に興味深い。 しかし私は残念ながら、手紙を殆ど書いたことのない世代である。 一方メールについては大変馴染み深く、中学生の頃にはやたらとメールアドレスが変わる友人…
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優れた小説を読み終え、本を閉じた後に感じる、あの満ち足りた気持ちを何と言えばよいのだろうか。ひとを恍惚とさせるあの幸せなひとときに、私はいつも、自分の心を満たしている朦朧とした感覚を言語により明確化しようと試み…
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久々にレコードを聴いて心が揺さぶられる思いをしました。 曲目は「ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」で、指揮がレナード・バーンスタイン、バイオリンがアイザック・スターンです。元々このヴァイオリン協奏曲が…
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みなさまこんにちは、ライター高橋です。最近仕事の都合で古い友人と会った時に、タイトルにあるような議論をしましたので今回はそれについて語ってみたいと思います。 クラシックを聞くというハードル 結論からいうと、世の…
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はじめに 現在、東京都美術館ではコートールド美術館展が行われています。モネの風景画やルノワールの風俗画、そして多数のセザンヌ作品も興味深いところではありますが、何より注目すべきは、エドゥアール・マネ晩年の傑作《…
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みなさまこんにちは、ライター高橋です。今回はショパン作の、練習曲でありながら恐ろしいまでに音楽性を併せ持っている名作、またピアニストの3大最重要レパートリーでもある12の練習曲のうち、Op.10を紹介いたします…