自宅の片付けをして使っていない古いプリンターを処分したのですが、驚く出来事が起きました。
2015年製のモノクロレーザープリンターでCanon Satera MF4750という型番です、このプリンターが使いやすく便利なので事務所や自宅など合計3台ほど導入して頻繁に使っていました。度重なる引っ越しで置き場がなく、カラーレーザープリンターを導入したために不要になったのです。

昔からプリンターというのは処分が大変で、不燃物として出すこともできず粗大ごみでも受付できず、リサイクル券を買ったり数千円の処分料を支払う必要がありました。そこでまだ正常なうちに捨ててしまおうと、メルカリに送料込み3千円で出品したところ2~3分で売れてしまいました。なぜ5年前のプリンターが一瞬で売れるんだろう?と検索してみたところ、価格が高騰していることに気がついたのです。

購入したときのアマゾンの明細

皆さんもご存知の通り家電製品というのは次から次へと新型が出て、日を追うごとにどんどん価値が下がっていきます。特にパソコンやスマートフォンなどは新品未開封でも5年もすれば10分の1以下に、新品時に20万円で買ったノートパソコンが数年後の買い取りでは5千円の値もつかない事があります。ただ例外があり趣味性の強い商品、例えばカメラのLEICAライカや、オーディオ機器のMcintoshマッキントッシュなどは価格の下落が緩やかということもあります。

プリンターというのはトナーカートリッジ以外にも消耗品が多く、中古で買うなんてのは余程の事情がないと避けるものです。5年間使ったので2~3千円が妥当だと思ったのですが、アマゾンを見るとこんな価格に……。

2万7千円で買ったプリンターが信じられないことに8万円まで高騰していたのです!
まさかプリンターにプレミア価格が付くとは思いもしませんでした。

なぜか理由を考えてみたのですが、このモデルの所有者が操作性や起動時間など何らかの事情で新型モデルが気に入らなく型落ちモデルを再購入しているために高騰した可能性があります。これは実体験なのですがキヤノンのPRO-9000という本格写真用インクジェットプリンターを2007年頃に購入して、気に入って3~4台使っていました。久々に写真印刷をしようと去年末にヨドバシカメラに行ったのですが、後継機種のPRO-100SもPRO-10SもPRO-9000とは発色がまるで異なり、赤の再現性が気に入りませんでした。
後継機種は価格も4万円から10万円近くまで上昇して性能も相当にアップしたといわれていますが、結局その新機種の色合いが気に入らずにオークションでPRO-9000の同一モデルを探しました。同じ事を考えている人がいるようでPRO-9000は当時の新品価格を超えた金額で取引されていました。このプリンター(MF4750)も同じように何かの事情で後継機種が気に入らない人が多くいるために高騰に繋がったと予想できます。

イヤホン&ヘッドホンも価格の下落が少ない?

もうひとつ面白い話があります。私は10年ほど前にポータブルオーディオがマイブームだった頃があり、イヤホンを買い漁ったりポータブルヘッドホンアンプのiBassoを直輸入したりしていた事があります。
その頃は新製品のイヤホンを発売当日に買って、趣味のブログにレビュー記事を書いていたものです。検索してみるとSONY MDR-EX1000は2010年10月23日発売と本当にちょうど10年ほど前です。関連商品のMDR-Z1000というヘッドホンやウォークマンNW-Z1000も買っていました。(このウォークマンはAndroid 2.3で鈍臭すぎて使い物になりませんでした)

MDR-Z100というヘッドホンは消耗品を交換して今だに愛用しているのですが、2020年8月18日の価格コムでは36,250円。私は10年前に34,000円ほどで購入した覚えがあります。プリンターほどではありませんが、10年経っても新品の価格が変わりません。

MDR-EX1000というイヤホンにいたっては10年前に新品を32,000円程で購入したのですが、2019年には10万円まで高騰しています。私はこのイヤホンが既に安くなっている思い、別のイヤホンを断線させて困っていた家内にタダであげてしまいました。その後どこかで紛失したそうです。(もったいない)

https://kakaku.com/item/K0000149169/より引用

新品家電を未開封で保管すると価値が上がる?

プリンターやイヤホンの価格にも驚いたのですが他にもレコードの針、MDプレーヤー、真空管など生産終了や製造が僅かのものは取り引き価格が上がっているようです。マキタのハンディ掃除機も新型は使いにくく吸引力が弱いといって昔のモデルを気に入っている人もいるそうなので、掃除機さえも価格が上がる可能性があります。
先ほどのイヤホンMDR-EX1000なども未開封のまま20~30年ほど保管すれば、ファミコンのカセットのようにプレミアがついて100万円!なんてこともありえます。ここまで電化製品が次々に発売・普及したのは高度経済成長期以降なので今は実感が湧きませんが、私のような30代が老いた時、若い頃に使っていた家電が未使用で出てきたら懐かしんで高い値段を払ってしまうかもしれません。
またそういった懐古趣味を抜きにしても、プリンターのように長年使い慣れた機種のユーザーインターフェースを後継機種でガラッと変えてしまうのはユーザーへの負担が大きく昔の機種への固着につながっているというのが、流通価格に反映されていると言えるのではないでしょうか。

家電は新品未開封でもバッテリーや基盤のコンデンサーの劣化、プラスティック部分の加水分解など緩やかに劣化していきます。それでも遠くない未来にヴィンテージ家電コレクターなんかが生まれるかも、と妄想しつつ10年愛用しボロボロになったヘッドホン(MDR-Z1000)の代替機を探している私でした。(おわり)

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1989年 静岡市出身。主な執筆分野:ライフスタイル、旅行、料理、お酒。