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写真のフェラーリ カリフォルニアは今極上車でも1,500万円で購入できるモデルである。

現代的な電動オープントップを持ち、FRで後部座席とトランクスペースをもつフェラーリでありながら、マセラティ グラントゥーリズモとエンジンブロックを共有するV8 NAエンジンを搭載しているカリフォルニア。

多くの新規顧客を獲得したと言われるこのフェラーリは、多くのセレブリティが日常の足として愛用したモデルだ。

このモデルが昔のフェラーリに比べ圧倒的に維持しやすいのは有名な話だ。しかしその代償としてフェラーリらしさが薄れた、というのもまた知られた話。

ではF430は?

(Prins Esclusivo)

このモデルを見て、「フェラーリらしくない」という人は、8気筒だと何かが4つ足りない気がする人や、ルマンでフォードに敗れるまでが本物のフェラーリだと主張する人かもしれない。

しかしこのF430でさえ、維持にそれほどのお金が掛からないというのはあまり知られていない。

そう、もしかすると300万円で購入できるマセラティに比べても、だ。

マセラティ クーペとフェラーリ F430の共通点

実はこの300万円で購入できるマセラティ クーペ カンビオコルサとフェラーリF430には共通点がある。

そもそもこのマセラティ クーペは、フェラーリがマセラティを傘下に入れ、同社が販売していた3200GTの中身を取っ替える形で登場させたモデルだ。

エンジンはフェラーリで製造され、ボディの塗装もフェラーリが請け負ったという。ミッションにはフェラーリが得意とするF1マチックと同じメカニズムのカンビオコルサが搭載されている。

オイルフィルターにはフェラーリのマークが入り、寝ぼけた朝に目を細めてガレージに入れば一瞬F430に見えなくもないリアのボディラインも持っている。

そこでフェラーリとマセラティを同列に扱い、「同じエンジンを積んだ」兄弟車と呼ぶ人もいる。

しかしマセラティ オーナーだからこそ言えるのは、この二つは全く似て非なる車であるということだ。

レーサー一家で生まれた秀才の次女と、いとこの着道楽で色好みの紳士の家庭で生まれた愛嬌たっぷりの末っ子という具合である。

細かい説明は避けるが、F430のエンジンとマセラティ クーペのエンジンはブロックは共通であるもの、バンク角もストロークも違い、性質の異なるエンジンである。

しかし共通しているのは程度の差はあれ、高回転型でコンパクトなNAエンジンであるということだ。

ミッションも同じシステムのシングルクラッチ式だが、異なるのはその洗練度だ。

F430のF1マチックはオートマモードで走ることも可能な、シングルクラッチにしては実に滑らかな制御のミッション。

それに対してマセラティのカンビオコルサは荒削りで、未完のセッティングといったところだ。もちろん、F430の半額とも言える1,300万円の車だから、仕方がない。

フェラーリとマセラティの維持費が同じ?

そして驚くのは、その二つの維持費がそこまで変わらないというところである。

タイミングベルトを廃止し、タイミングチェーンを採用したF430。今やこの優等生フェラーリの最も高額な消耗品といえばクラッチである。

クラッチ交換は2〜3万kmに一回、約100万円である。

この金額を見て、「高い!」と驚くであろうか。

しかしここで拍子抜けするのがマセラティ オーナーである。

「安い」のである。

マセラティ カンビオコルサのクラッチは一般的には1.5万km〜2万kmで交換だが、その金額は65万円だ。

その差額35万円。

比較的日常的に使用され、あっという間に1万km走ってしまうマセラティと、2年で5,000kmが妥当と言われるフェラーリ。クラッチ交換の頻度が違うのは明白だ。

さて、マセラティ クーペは残念ながらマイナートラブルが多く、走行距離や個体にもよるがだいたい年間に60万円〜100万円程度のメンテナンス費がかかる。

それに比べ、F430は目立った故障はほぼなく、パッキン類の交換さえしておけば問題ないことが多いという。何もなければ車検も一般的な輸入車とさほど変わらない。

F430は後期のカーボンブレーキ装備車を選べば、ブレーキ関係の消耗品も交換が少なくなる。

燃費もほぼ同じ3km/l〜6km/lであるだけでなく、排気量も同じなので税金も変わらない。

変わるのは、保険料である。車両保険はどちらも大変高額だが、普通の任意保険でもフェラーリはマセラティの数倍になる。

しかし全体を見てみると、その維持費はほぼ変わらないのだ。

好きな車に乗ろう。どんな理由であれ。

さて、こうして比べてみると、マセラティは大変な車であることが理解できる。

フェラーリほどの知名度もなければ、デザインは可愛らしくも派手さがない。車はフェラーリに比べると圧倒的に洗練度が低く、あら削りである。

そのうえ売却時には値下がりするし、モチベーションを維持するのは難しい。

好きでなければ乗れない車、とマセラティが言われるのはこれが理由なのだ。

フェラーリが欲しい人にとって、F430以降のモダンフェラーリは買いやすく、維持しやすい車である。

300万円で買えるマセラティと1500万円のフェラーリ どちらが得なのか?買える人にとっては、(人々の感覚に反し)フェラーリの方が圧倒的に得と言っても過言ではない。

しかしどうしてか、人にはテイストがある。

私はF430に憧れて、何台か見に行ったことがある。しかしこれほど好きな車にも関わらず、美しくレーシーなミッドシップスポーツカーが自分のガレージに収まっている姿を(経済的な理由を除いても)想像ができないのだ。

ポロシャツとデニムにジャケットを羽織って気軽に乗れて、ちょっと乱暴なワインディングもできて、スーツで仕事にも行けるマセラティ クーペが自分のライフスタイルに合っているのかもしれない。

好きな車であろう。それがどんな理由であれ。

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後天的イタリア人。 メンズファッション、車、オペラ等について執筆する兼業ライターです。 本業は田舎の洋服店。